飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「俺を好きなのはお前だけかよ (3)」感想

俺を好きなのはお前だけかよ (3) (電撃文庫)

〈あらすじ〉
『俺に尽くしたい』と切に願う、転校生の美少女。歴戦のラブコメ主人公のみ許されるオンリーイベントが、モブキャラな俺に到来だと! ?
でもな。ちょっと待ってほしい。世のラブコメ主人公と呼ばれる奴らは、転校生が急に好意を示してきたら、次の行動は実は『うろたえて拒否る』なのだ。ほんと、頭おかしいと思う。だが、俺は違う。徹底的に甘える。ひまコスも一緒に(パンジーはいらん)、モブだからこそ出来るハーレムルートを俺はゆく! ん? それじゃあタイトル詐欺だって? そ、それは後でなんとかする。そんな姑息な誰かさんに天罰が下ったのか、せっかく真実の姿になってくれた最強(属性:美少女タイプ)のパンジーと、俺は大喧嘩をしてしまう。……今回は俺が一方的に悪ぃ。仕方ねえ……こうなったら、覚悟を決めてパンジーに『告白』だ! !

三連チャンでパンジーが表紙を飾るこのブレなさは凄い。3巻までこれだと構図が出尽くしても他ヒロインに乗り換えるのが難しくなる。というか、パンジーが圧倒的メインヒロイン扱いなんだよなあ。まあパンジーだけは裏切らなかったからそりゃあそうか。

もはやタイトル詐欺なのを公式がネタにし始めるレベルの本作ですが、相変わらずジョーロはアホ面白い男だった。どんなヒロインが出てきて「お? ハーレムルートですか?」と思っても最後には嫌い嫌いといいながらもパンジーの元に帰ってくる。パンジーとしても、今回はジョーロに「弱味」を見せたり、ある意味人間味を感じられて良かった。何考えてるか分からない……そのイメージが少し氷解した。

しかーし、何というか。ラブコメ全般に言えることなのだけど1巻がピークにきてその後からはそれを上回ってくるケースが少なく、この作品も例外に漏れずなところが。いや、それでも十分面白いのだが。言い換えると1巻が面白すぎたんだね。流石は電撃文庫の新人賞作品やでえ。

「エロマンガ先生 (7) アニメで始まる同棲生活」感想

エロマンガ先生 (7) アニメで始まる同棲生活 (電撃文庫)

〈あらすじ〉
「『世界で一番可愛い妹』アニメ化決定、おめでとうございます」
二人で創った小説のアニメを、兄妹一緒にリビングで観る――『二人の夢』にまた一歩近づいた和泉兄妹。興奮冷めやらぬままマサムネはアニメの脚本会議に臨むが、そこで出会った制作スタッフは一癖も二癖もある人たちだった。
アニメ化によって、マサムネの生活に様々な変化が! 先輩たちから本気のアドバイスをもらったり、智恵や学校のオタクたちから祝福されたり、ゲーム化企画も進行中!? 嵐のように舞い込んでくる大量の仕事! いきなり家にやってきた美少女脚本家! 最強のアシスタントとなったムラマサ先輩! エルフや京香も和泉家に乗り込んできて!? 仕事に学業、家事に恋愛、さすがのマサムネも不眠不休の生活を余儀なくされる。兄を心配した紗霧は、ある決断をするのだが……。
アニメ化決定! 人気シリーズ第7弾!

『エロマンガ先生』がアニメになるとな? ほほう、もちろんタイトルはこのままで行くんですよね? このタイトルで行って未読の思春期少年たちに色々妄想させて前屈みになって欲しい。そんなどうでもいい欲求があったりなかったりします。僕は今日も元気です。(虚無)

現実でアニメになりますが、作中でもアニメ化に向かって盛り上がっていきます。何ですかね、こー、「ラノベ原作アニメ企画進行の裏側!」っていうお話、僕があまり興味ないせいか入っていけてない感じがしました。おいどん、ラノベ原作アニメ観ませんから!(何の自慢にもならない、いや事実自慢ではないのだけど)

興味があるのはそう、ラブでコメな展開です。妹ラブなのに他の女の子にフラグ立てまくるマサムネには相変わらず跳び蹴りをかましたいですが。健気なエルフを見ていると、ちょっと彼女に頑張っていただきたい気持ちになってきてる今日この頃でした。

「我が驍勇にふるえよ天地 ~アレクシス帝国興隆記~」感想

我が驍勇にふるえよ天地 ~アレクシス帝国興隆記~ (GA文庫)

〈あらすじ〉
天下無双――アレクシス大帝、レオナート一世の驍勇は真実そう評される。 しかし、後に大陸統一を果たす彼も、若き日には""吸血皇子""の汚名を着せられ、故郷を奪われた、武骨で不器用な青年でしかなかった。 これは、大反撃の物語である。 再起を誓ったレオナートはまさに一騎当千! そして一本気な彼に惹かれて集うは、神とも魔物とも例えられる数多の名将、賢者、才媛、奇才。やがて彼らは腐敗した祖国を呑みこむ一大勢力となり、群雄する大国全てと渡り合っていく!
痛快にして本格――多士済々の英雄女傑、武勇と軍略が熱く胸を焦がすファンタジー戦記、堂々開幕!!

久しぶりに読むあわむら作品です。『聖剣使いの禁呪詠唱』ってアニメになってたんですねえ。(驚き)(遅い)
タイトルを見たときにまず思ったのは「『驍勇』…これは一体何と読むのか?」でした。これが語彙力です、本当にありがとうございました。略称は「アレクシス」で良いんですか?(どうでもいい)

と、いうことで久しぶりに読んだあわむら作品の題材は「戦記モノ」です。読み終えて感じるこの気持ちの良さ、爽快感は素晴らしい。序盤、主人公のレオナートに降りかかった卑劣な策略を終盤で見事仕返しするこの王道の流れ。これを一冊でやり切ってくれていることが読み終えての気持ちよさに繋がっている。引き延ばされていたら一転、燻った腹立たしさが収まらなくなるよ!

心技体揃ったレオナートには、彼を慕って仲間たちが続々集結していく。朴念仁であることを除けば、いやある意味この朴念仁も長所と言えなくもない……無敵のような青年であり、今のところ戦場で負ける気がしないのだけど、この後は彼が危機に陥るような絶体絶命な展開も用意されているのかな。2巻はすぐ発売するようなので楽しみ。

「EIGHTH 16」感想

EIGHTH(16)(完) (ガンガンコミックスJOKER)

〈あらすじ〉
肺炎が重症化し、予断を許さない状況が続いていたナオヤが目を覚ましたとの知らせが入り、病室へ駆け寄るセルシアとヒカル。そしてナオヤは、寝込んでいた間の出来事を聞くことになるが、今後の身の振り方をセルシアに聞かれて…。それぞれが進むべきを道を見つけ、成長してゆく最終巻。21世紀の螺旋に纏わるお伽話、ここに完結!!

これにて「EIGHTH」完結となります。『機工魔術士』はこれ以上の巻数発売されているので、随分な冊数ここまで読んできたなあ、と。

しかし個人的に思うのはヒロイン戦争(?)ですよ。メインヒロインは真理さん?→セルシア?→ヒカル?→あれ? あれ? あれれ?→まさか……ヴァレリヤ……だと……!?

みたいな感じで移り変わっていって、最終的にヴァレリヤが持って行った感があるような気がします。(あくまでも個人の感想です)

さて河内さんの次回作はどうなるのかな。とっても期待しています!

「女の子が完全なる恋愛にときめかない3つの理由」感想

女の子が完全なる恋愛にときめかない3つの理由 (電撃文庫)

〈あらすじ〉
男女の恋愛感情を利用して学内で莫大な利権を得ようと目論んだ神崎京一は、仲間の裏切りにあい、所属サークルを追放されてしまう。実はこの学校には、男子には見えない恋愛に関する"女子の裏ルール"が存在し、男子は密かに格付けされていた。さらに、恋愛ビジネスを生業とする裏の集団まで存在し、利権を牛耳っていたのだ! 再び学内でのし上がるため、神崎は新たに恋愛コンサルタント業を立ち上げるが、そんな彼に付いてきたのは、恋愛に夢見がちな頼りない少女、鈴木夕凪だけで!? 恋愛はビジネスだ! 女の子しか知らない秘密の恋愛ルール、教えます!!金と欲望、そして《真実の愛》を描いた、土橋真二郎、待望の新シリーズが登場! これを読めば貴方もモテモテ間違いなし!?

久しぶりに土橋作品を読むような気がしましたが、良く良く考えてみると『コロシアム』がありました。最近はメディアワークス文庫で出版しているイメージがあったので、どこまで読んだのか分からなくなっている自分がいる。(白目)

感想ですね。まあまずなんですけど、タイトルを見た時点では「お? これは『OP-TICKET GAME』のようなバカを土橋さんの持ち味全開でやってくれるのかな?」と思っていました。しかし読んでみたら驚き……どっちや、バカになって読めば良いのか? それとも真面目に向き合わないといけないのか、これは?

戸惑いながらも土橋作品らしいゲーム的な展開は興味深かったものの、終始「どういう姿勢で読めば良いのか?」の疑問が付きまとって集中力を欠いた感じです。ただひとつ分かったのはやはり主人公の斜に構えた性格の描き方は流石だな、ということでした。(笑)

「メロディ・リリック・アイドル・マジック」感想

メロディ・リリック・アイドル・マジック (ダッシュエックス文庫)

〈あらすじ〉
東京都沖津区―国民的アイドルグループ・LEDに叛旗をひるがえした女子高生アイドルたちがしのぎを削る街。高校入学に合わせて学生寮に入った「吉貞摩真」はそこが沖津区アイドルたちの根拠地であることを知る。しかし彼にはアイドルを好きになれない理由があった。一方、同じ寮で暮らす「尾張下火」は学校一の美少女「飽浦グンダリアーシャ明奈」に誘われ、アイドルグループを結成する。しかし彼女にはアイドルにまつわる暗い過去があった。言葉にできない二人の秘密が交錯するとき、アイドルの持つ真の力が明らかになる。メロディアスでリリカルなアイドル・熱血ラブコメディ、登場!

先日、ラノベ好きが集まるオフ会に参加してきました。その中でオススメされたのがこの作品です。「ああ、アレでしょ? 石川博品さんの新作のアレでしょ?」みたいな感じで、買ってあったもののタイトルが覚えられずにいました。今でも覚えられていません。

アイドルを題材にした本作。アイドル……最近TVを見るようにはなったけど、特に好きなアイドルはいないなあ、と。思春期の頃は好きなアイドルはいましたよ? そうですよ、あの大人気女性アイドルグループです……違います、「おニャン子クラブ」じゃありません。そんな歳じゃねえってばよっ!

当時、絶大な人気を誇った「モーニング娘。」が好きだった話はともかく。アイドル。彼女ら、あるいは彼らの「全力」を見ているととんでもなく元気が湧いて出てくる。アイドルたちの活力が注入されているかのように感じる時がある。カッコイイとか、カワイイとか感じるのは二の次のことで、やはり「全力」の「元気」を魅せることがアイドルの本懐だと思う。

石川博品さん作品ということで期待を持って読みました。や、面白かった。大人気アイドルグループを「偽物」のアイドル扱いをして、「真」のアイドルを魅せるために「全力」を尽くす少年少女たち。この作品を書くための、このキャラクターたちを「元気」一杯動かすための熱量は相当なものだったんじゃないかと感じた。そうでなければ、これだけ熱いアイドル道を描くことはできなかったのではないか。アイドルは夢を魅せるお仕事、いや生き方。それを強烈に感じることのできる一冊でした。ありがとうございます。