飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「14歳とイラストレーター」感想

14歳とイラストレーター (MF文庫J)

〈あらすじ〉
ラノベの挿絵は1冊30万円。税金も家賃もPC代もここから支払うんだ」フェチズムの最前線を走るプロ・イラストレーター京橋悠斗はラノベ挿絵―とくにおヘソに心血を注いでいる。類は友を呼ぶのか、周りも曲者ぞろいで…巨乳と酒が大好きなチャラ系ベテランレーター倉山錦。気●い作家たちに日々心労を重ね、たまに罵声と黒血を吐く編集の永井敬吾。いつも笑顔のほがらか美人レーター佐伯愛澄は「ストーカーほいほい」の異名に悩む。そして、14歳のコスプレイヤー乃木乃ノ香、イベント後に悠斗の部屋まで来て、とんでもないものをぶっかけられてしまい―!?理想と現実、そして欲望に振り回される。イラストレーターのガチな日常を大公開!

こちらも「このライトノベルがすごい! 2018」に記事を書いた作品になります。読んだ日付を追っかけると一年近くも前になるんですねえ。大丈夫、まだ慌てるような時間じゃない。ラノベ界では3年続きが出ないのもザラです。いや、そういう話じゃなかった。

ここ数年。「ラノベ作家ラノベ」と言えばいいのかな。自身の実体験も込めてラノベ作家が主人公の作品が増えていますが。この作品の主人公はその大切な相棒であるイラストレーター側の視点で描かれていく。よく見ると作品の企画は売れっ子の溝口ケージさんになっとる!(わざとらしく驚く)

ラノベ作家ラノベ」にもイラストレーターさんは登場しますが、こっちはほぼほぼイラストレーター勢で固められています。イラストレーターさんにはイラストレーターさんの苦悩と戦いがある……のだろうけど、タイトルである「14歳」=コスプレヒロインであり、イラストレーターの主人公はの助手でもある乃木乃ノ香が可愛いすぎてイラストレーターマジ羨ましい。マジ嫉妬対象!みたいなことになります。もはや犯罪です。年齢的な意味合いでも現実にこんなことがあったら犯罪です!

恐らくはイラストレーター側の妄想の産物。そうこれは願望が体現した作品でもある。そうです、そうに決まってます。コミケに可愛いコス売り子など存在しないのです!(血涙)

「ぼくたちのリメイク 十年前に戻ってクリエイターになろう!」感想

ぼくたちのリメイク 十年前に戻ってクリエイターになろう! (MF文庫J)

〈あらすじ〉
僕、橋場恭也はしがないゲームディレクター。会社は倒産、企画もとん挫して実家に帰ることになる。輝かしいクリエイターの活躍を横目にふて寝して目覚めると、なぜか十年前の大学入学時に巻き戻っていた!? 落ちたはずの大学に受かっていて憧れの芸大ライフ、さらにはシェアハウスで男女四人の共同生活と突如、バラ色の毎日に! ここから僕の人生を作り直すんだ―――後の超有名クリエイター(の卵)と共に送る新生活がいま始まる! と、意気揚々と始めてみたもののそんなにうまくはいかないみたいで……。木緒なち×えれっとの超強力タッグによる、青春リメイクストーリー!

このライトノベルがすごい! 2018」に紹介記事を書きましたが、後出しでこちらでも本作の感想を書きます。文字数制限ありませんから。文庫部門で第6位だったのは意外だったなあ。(悪い意味で言ってないですよ?)

ゲーム会社が倒産し、無職になった28歳の主人公・橋場恭也。夢を叶えられずこれまでの人生を悔やむ恭也であったが、突如10年前にタイムスリップ。今度は悩むことなく芸大に……クリエイター道を進むことを選択する。10年後の業界で大活躍することになる、才能溢れる仲間たちに囲まれ、夢と青春を謳歌することになる。

人生をやり直したいと思うか?
難しい質問だけど「やり直したい」と答える人は少なくないのではないだろうか。この作品の主人公はそれを願い、人生の岐路に立たされたあの日に戻って選択を改める。好きだった道は行くことに全力を尽くし、才能を発揮していく。素晴らしい仲間もできた。青春まさにここにあり!……といった物語である。1冊の作品としてとても完成されていて、それを考えると「このラノ」上位も頷ける。

しかしね。やはり読んでて「辛い」という感情を振り払えないのは、もう人生を巻き戻すことができない、引き返すことができない大人になってしまったからなんだろう。これが人生行きたい道を行き、成功している人間が読むとそのようなこともないのだろうけど。(苦笑)
つまり人生やり直して楽しんでる主人公への嫉妬! でも人生をやり直したいか……と自分自身に問うと、今は可愛い息子に出逢ってしまってるからね。とても戻れないよ。

「妹さえいればいい。8」感想

妹さえいればいい。 8 (ガガガ文庫)

〈あらすじ〉
年が明け、『妹のすべて』のアニメ化発表が着々と近づいていたある日、なにげなくエゴサーチをした伊月が見たものは「妹すべ、アニメ化決定!」という新刊の画像付きツイートだった。その画像の出所はなんとギフト出版の公式サイトで…。伊月やアニメ関係者からの信用を失ったGF文庫編集部が放つ、起死回生の一手とは…!?伊月や土岐がアニメに翻弄される一方で、春斗や京、他の新人作家たちの物語も進んでいき、千尋の心にも大きな変化が訪れて―。動き続ける青春ラブコメ群像劇、第8弾登場!!

つらい。
読んでいる最中はあれこれ順番に書いていこうと思っていたけど、あとがきまで読んでまず書かなくてはならない言葉。つらい。そういえば公式がアナウンスする随分前からアニメになるような話が上がっていた気がします。それを本編にぶっこむ辺りが平坂さんっぽくはあるけど。(苦笑) アニメ化情報をネットに流す時は公式日を気にかけましょう。

ということで感想。
自分もコミケに参加するようになってから、結構色んな作家・イラストレーターさんが出ているんだなあと驚いたもんです。商業で活躍してる人は出ていないと思ったから。自分の作品の同人誌は感動するだろうなあ。そして自分の好きな女の子が自分の作品のキャラのコスプレなんてしてた日には……!

伊月と那由多の関係は平和なのか、危ういのか。しかし伊月の主人公論はカッコイイぞ、しっかり貫いたらね。いや、千尋が怖いっすな。彼女が爆弾になりそうで不安だな。でも爆弾をぶっこんで欲しいですわ。

「妹さえいればいい。7」感想

妹さえいればいい。 7 (ガガガ文庫)

〈あらすじ〉
ついに付き合うことになった羽島伊月と可児那由多。恋も仕事も充実して、ますますリア充真っ盛りとなる2人。そんな2人の交際をきっかけに、羽島千尋、白川京、不破春斗、それから何故か大野アシュリーの心境にも変化が訪れるのだった。千尋の前には新たなライバルが出現し、春斗は彼を慕う新人作家(巨乳)・相生初に熱いアプローチを受ける。近づいてくるクリスマスの足音。変わりゆくもの、変わらないもの。大人気青春ラブコメ群像劇、待望の第7弾!作家や税理士や女子大生たちの、新たな物語が幕を開ける―。

新作を挟んで今度はこちらの感想を書いていくことにします。帯にはアニメ化と書いてあるのだけど……いつの間にか始まって、いつの間にか終わっていたという。ある意味ではこの作品はタイトル詐欺のところがあるからなあ。テレビ視聴組にはどう受け止められたのだろうか。

伊月が言っているけど、まあ通常であれば那由多とのニャンニャンなシーンはいわゆる「朝チュン」で終わりそうなところなのだけど。そうはならずに、全思春期真っ只中の男子心を抉り取っていくのは流石です。ワイが中学生の時の読んでたら前屈みになって「羨ましい妬ましい」となっていたところだったわ!(前屈みで歯を食いしばりながら)このカップルは平和ですね、問題は、そうタイトルがねえ、これだからさあ。(不安顔)

新人作家ズが加わり、春斗を交えての関係が複雑化しそうな悪寒が。春斗は都一筋なんですから惑わすのはやめてください。まあ優しくしすぎる春斗が悪い説もあるが。楽しく揉めて頂ければと思いますよ。

最後の幽との関係を書いたエピソードは、おバカな出来事ではあるけど切なくなる。奔放すぎるだろ、幽さん。タイトルとイコールの作品を生み出した人だから、亡くなっているとはいえキーとなるキャラになるのか。これっきりなのか……(空を仰ぐ)

「高2にタイムリープした俺が、当時好きだった先生に告った結果」感想

高2にタイムリープした俺が、当時好きだった先生に告った結果 (GA文庫)

〈あらすじ〉
アラサー社畜な日々を送っていた俺は、ある朝目覚めると高2の春にタイムリープしていた。当時好きだった先生・柊木ちゃんに告白しないまま卒業したことをずっと後悔していた俺は、今度こそ告白すると―まさかのOK。見事付き合えることになったのだった!!でも付き合ってみると先生は男をダメにする女の人で、常に俺を甘やかしまくる。尽くし過ぎる先生とバレないように付き合いながら甘々でイチャイチャな学園生活が始まる!!毎話美味しいとこだけをサクッと読める連作短編形式。web小説投稿サイトで大人気の中身アラサーで高2な俺を甘やかしたい先生が贈る日常イチャラブコメディ!!

やすゆきさんのイラストだったから買った!(素直)イラストで選んでもいいじゃない だってライトノベルだもの……イラストで読む本を決めるのやっぱ気持ち良いですねえ!(爽やか)

目覚めたら高校生に戻っていた。主人公・真田誠治は10年前……高校時代にタイムリープすると、勢いのまま当時好きだった美人教師・柊木ちゃんに告白。返事はなんとオッケー。それから二人のイチャラブ高校生活がスタートする。

タイトル通りの内容だ。凄い。何より凄いのはこのサラサラとした読み心地。「カレーは飲み物」と豪語する人たち並みにサラサラ読んでいけるぞ!(意味不明) とにかく読みやすさは群を抜いている。

初めから何を読ませたいかが明確。イチャラブですよ。これが売り。ホップステップジャンプの恋愛がない。いきなり飛び上がってる。誠治と柊木ちゃんの関係。告って速攻で受けるから。読者は考える疑問を挟む間もないぞ。そのまま禁断の関係なのにメッチャ軽〜〜い感じで進むラブコメを読んで行くことになる。最初から最後までイチャイチャイチャイチャ。24歳と16歳ですよ。脳みそ空っぽにしてこれを楽しんで欲しい。

最後に。
過去を改変して戻ってきた時。そこにいるのは10年歳を取った二人……うん、10年一緒にいたならもっと早く色々考えられたのでは。ここで一気に現実に引き戻されるつらみ。(笑)

「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか ファミリアクロニクル episodeリュー」感想

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか ファミリアクロニクル episodeリュー (GA文庫)

〈あらすじ〉
それは神の眷族が紡ぐ歴史の欠片(クロニクル)――。
「アンナ・クレーズを買い取ったのは、『大賭博場(カジノ)』の人間です」
腕利きの元冒険者リューが働く『豊穣の女主人』で今日も騒動が起こる。とある夫婦の一人娘がさらわれたことを知り、正義(アストレア)の名のもとに調査を開始するリュー。その先に彼女が辿り着いたのは――迷宮都市の治外法権、大賭博場。
人の欲望が渦巻く黄金の都で【疾風】の轟きが巻き起こる!
「お前達、声を出しな! ここは笑って飯を食べてもらう場所さ! 」
そして少女達が酒場に集う始まりの物語も収録!
ダンまちの世界を補完するクロニクル・シリーズ第一弾、始動!

広がる「ダンまち」ワールド……とはいえ広がりすぎでしょこれは(笑)ラノベ読みおじさんはついて行くのがやっとです。Amazon検索したらコミカライズ版が既に3巻まで載っていて勢いを感じるわ。

ヤスダスズヒトさん、はいむらきよたかさん、そして今回のニリツさんという豪華なイラストレーター陣。人類はどこまで贅沢になれるの……!(違う)あとペンネームに漢字を含むイラストレーターさんは担当できないんですか?

タイトルどおり今回は基本、リューさんをメインに据えた「豊穣の女主人」で働く女性陣の物語。あとがきを読むに、次回以降はリューさんではなく他のキャラをピックアップしていくと。まあロキ・ファミリアは別シリーズがあるからそれ以外のキャラになっていくのかな。出すシリーズ多すぎて忙しすぎる問題。

本作、読んでいると「え? そのキャラそんな背景があるの?」と驚くばかりで。完全にNPC的な感じで見ているキャラをそんなに掘り下げるんですねえ。これは本編でも活かして欲しいが、本編は本編で登場キャラ多すぎ問題が発生してて早く全キャラの早見表ください。