飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「声優ラジオのウラオモテ #02 夕陽とやすみは諦めきれない?」感想

声優ラジオのウラオモテ #02 夕陽とやすみは諦めきれない? (電撃文庫)

〈あらすじ〉
裏営業スキャンダルが何とか収束を迎え「コーコーセーラジオ!」も、めでたく続行決定! ――とほっとしたのも束の間……
「本当甘ちゃんだよね。ふわふわ友情ごっこがしたいならよそでやれよ」
ストイックな実力派の先輩声優・柚日咲めくるに突然浴びせられた強烈な罵倒。でもそんな彼女も実は、秘密の《ウラオモテ》を隠していて…… さらに、夕陽とやすみの高校まで追いかけてくる、不躾な視線やシャッター音。事態に業を煮やした夕陽の母が、ふたりに課した超難題とは!? こじらせ先輩声優めくるのホントの思いも明らかに――!
「そのまま行け、ふたりとも――ッ!」
声優生命最大の危機でも、夕陽とやすみは止まれない、中途半端じゃ辞められない……! 諦めきれないふたりの声優ラジオ、ここに再びON AIR!!

好きな声優さんは小清水亜美さんです。「舞-乙HiME」で好きになりました!声優ラノベなので声優さんの話題から入りましたがそんなに詳しくないのでこれくらいにしましょう!(勢い)

前回のスキャンダル自体を鎮静化させようとした動きがまた違うトラブルに繋がりましたとさ。いや、2巻の話題としての繋げ方も上手いなあと。アイドル声優として被っていた猫を脱ぎ捨ててしまった責任。モヤモヤとする想いと、周囲の反応、ファンの真意など、前巻で置いてけぼりにした気持ちへの決着編となっていたので、ここまで読んで一騒動落ち着くのかな。

「アイドルはファンに夢を見せる仕事」と何処かで聞いた覚えがあるけど、二人が見せていた夢を終わらせて、ありのままの性格を見せたことで幻滅するファンもいるし、このご時世、強硬な手段に出るファンもいる。自分はあんまりアイドル好きになったのは中学生の時で、まあ例に漏れず「モーニング娘。」さんは好きでしたね。誰のファンかは言わないでおきます。ただ保田圭さんのファンが最後救われてる感じ、当時誰が想像できたでしょうか。(失礼)保田圭さんのキャラは僕は好きでした。

そうキャラ。キャラを捨ててしまった二人の責任は、ファンにその運命を託すカタチで解決を図ったけど、手法は結構強引だったような。エンタメとしては非常に楽しかったが、夕陽のお母さんが言う心配も分かるなあ、と。やすみのお母さんは理解ありすぎて逆に心配になる。(笑)

「夜露死苦! 異世界音速騎士団"羅愚奈落" ~Godspeed You! RAGNAROK the Midknights~」感想

夜露死苦! 異世界音速騎士団"羅愚奈落" ~Godspeed You! RAGNAROK the Midknights~

レベルカンストのチートキャラとして魔王を倒した山岡和隆は異世界から現実世界に帰還した。その異世界転移の原因となった交通事故で半年間昏睡状態にあった彼は、入試の時期を逃してしまい、やむなく県内有数の不良校・私立鯖ヶ崎高校(通称・シャバ高)に編入する。編入初日、いきなり「羅愚奈落(ラグナロク)」を名乗る暴走族に絡まれた彼は、バイクに乗せられ、異世界へと転移する。この県では公道で時速150㎞を出すとスピードの向こう側=異世界に行くことができるのだった。異世界で羅愚奈落の総長とバイクでチキンレースをすることになった和隆。運転ミスで死にかけたそのとき、前の異世界でのステータスがそのまま引きつがれていることに気づく。その桁外れの能力で総長を打ち負かした和隆は、羅愚奈落のメンバーに加わるよう勧められる。彼は不良校で生きていくため、異世界でオラつきつづけることを決意する。クソ雑魚陰キャによる偽りの最強伝説がいまはじまる。

Twitter石川博品さんの新作が出ると聞いてどこのレーベルから発売されるのか調べたらレーベル名「石川博品」って……元々は同人誌だったのね。混乱しました。混乱といえばタイトルがほとんど読めないのですがこれは一体。

主人公以外全員悪人、というかヤンキーです。令和の時代にこのようなヤンキーラノベを読めるとは。そこに異世界転移展開を魔合体させているのでもう訳が分からないよ。バイク乗って一定の速度に乗ると行ける異世界。随分気軽に行ける異世界もあったもんだ。

しかしこんなに異世界が似合わないキャラクターたちもない。会話の9割がヤンキー語なので文章を読むというか、感じ取る感覚に似てる。最初は戸惑ったけど、後半辺りから癖になってくるから笑う。癖になる、といえば別の異世界帰りの勇者でもあり、真面目な人生を再出発さでようとした主人公のカズが、あれよあれよという内にヤンキー街道に引き釣り込まれる展開も面白い。ヤンキーたちから逃げようと打つ手が全て裏目になってヤンキーたちの評価上げる展開ほんと好き。

王道に外道を足した作品に仕上がっているので、読む方にも一定の覚悟がいる感じに思えるけど、上で書いた通り、戸惑いは一瞬だよ。読めば読むほど面白くなっていくわ。(笑)

「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。14」感想……にみせかけた単なる思い出話。

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (14) (ガガガ文庫)

〈あらすじ〉
季節はまた春を迎えようとしていた。同じ日々を繰り返しても、常に今日は新しい。言葉にしなければ伝わらないのに、言葉では足りなくて。いつだって出した答えはまちがっていて、取り返しがつかないほど歪んでしまった関係は、どうしようもない偽物で。―だからせめて、この模造品に、壊れるほどの傷をつけ、たった一つの本物に。故意にまちがう俺の青春を、終わらせるのだ―。過ぎ去った季節と、これから来る新しい季節。まちがい続ける物語が終わり…そしてきっとまだ青春は続いていく。シリーズ完結巻。

シリーズ1巻刊行が2011年3月、と聞いて当時からの俺ガイルファンは分かって頂けるかと思うのですが「東日本大震災」直後が発売日だったんですよね。

渡航さんのデビュー作にして大ヒット作品でもある「あやかしがたり」を読んで既に作者のファンであった(謎のマウント)私は、新作が既に面白いことを読む前から確信しており(更にマウント)、新進気鋭にして後の神であるぽんかんさんの素晴らしいイラストで彩られた(追い討ちマウント)表紙のこの1巻の発売日をドキドキしながら待っておりました。

地震の後、俺ガイル1巻が無事に発売されたのがとても嬉しかったこと、とても勇気づけられたことを覚えています。

9年前。このブログが始まった2011年4月の一発目の感想は、実は「あやかしがたり」だったりします。「あやかしがたり」から始まって、俺ガイルと共に歩んできた、このブログ。始まりがあれば終わりもある。俺ガイル、終わっちまったのか、おまえ……いえ、このブログはまだ終わりませんが(真顔)

早いですが締めに移ります。
大変読むのが遅くなってしまいましたが、渡航先生、9年間お疲れ様でございました。楽しくもクッソメンドくさい八幡や雪乃のこの青春劇を本当にありがとうございました!

それでは最後に、平塚先生と一緒に。

リア充爆発しろー!

「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。13」感想

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (13) (ガガガ文庫)

〈あらすじ〉
暦は雪解けの季節を迎えるが、新しい希望の芽吹きはまだ遠く感じられる3月。それぞれの想いを言葉にし、行動しようとする雪乃、結衣、八幡。そして、それは今のままの関係でいることを終わらせることでもあって―。雪ノ下雪乃は、最後まで見届けて欲しいと願った。由比ヶ浜結衣は、このままずっと一緒にいられたらと祈った。美しい夕日に時が止まればと願っても、落日を迎えなければ新しい日はやってこない。前に進むために諦めること、終止符を打つこと。悩む間もなく、巻き戻すことも出来ず、エンドロールは流れ始める…。

表紙のガハマさん、滅茶苦茶可愛いですね。流石は我等のぽんかん神。特にガハマさんのワンコが可愛い。思い返せば全てのキッカケとなったのはこのワンコなんだよねえ……。

最終巻まであと一冊となりました。なんだかそんな気にならならないんだけど、作品の流れはどうしようもなく終わりに向かってて。八幡、雪乃、結衣の関係がいかなるものだったか。それがこれまでキチンと描かれてきたからこそ、胸を締め付けられるような、濃厚な青春を感じる。

共依存(と陽乃に指摘された三人の関係)から脱するため、家族の呪縛から解かれるため、自らの力だけで苦境を解決しようとする雪乃に対して、いつものように搦手で、助けを望まぬ雪乃を助けようとする八幡。そんな八幡はフォローしつつ、雪乃を心配し、そして三人の関係に悩む結衣。八幡はこの三人の関係を不覚にも「三角関係」と呼んでしまったのには驚いた。自分で言っちゃうんだ、それ。しかもあの八幡が。

みんな(読者含む)知ってることだけど、八幡と雪乃は人間関係においてとにかく面倒で真面目で……頭がとんでもなく回るものだから、面倒ごとを真面目に解決できてしまう。これに振り回されつつ、一緒にいてバランスの取れる結衣のコミュ力という何というか、それもそれでとてつもない才能だと思う。

そんな三人の関係を共依存と呼ぶのはどうなのか。結衣も言っていたことだけど。指摘自体がまちがっているのか。この三人の関係、このままバランスを取り続けていれば深く考える関係ではないかもしれないけど、それぞれの信念というか性格的にそれは考えられなくて、高校生活は終わるし、そうなれば嫌でも関係は変わり、それが分かっているからこそ雪乃も結衣も各事情のもと、変えたがっている。どうあっての変わってしまう関係なら、自分にとって正しいかは別として、良いと「思っている」方向に変えたい。雪乃は行動を起こして、結衣は悩み続けている。

その悩む結衣を見て、雪乃は青春劇から自ら降板しようとしている。結衣のために。でもそんな青春ラブコメはまちがっているんですよ、ゆきのん。結衣は雪乃の想いを全部知ってる。そして面倒で真面目でクソ不器用で器用な八幡はどんな答えを、葉山隼人に言わせれば嫌いな行動に出るのか。この青春の答えは次巻へ。

「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。12」感想

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。12 (ガガガ文庫)

〈あらすじ〉
バレンタインデーのイベント、水族館での雪の日を経て、自分たちが踏み出すべき一歩を定める八幡たち。そんな奉仕部に、ある大きな依頼が持ち込まれる。その依頼に対して、雪乃が決意と共に出した答えとは…。―たとえ、その選択を悔いるとしても―。時間の流れがいつか自分たちを大人にするのかもしれない、出会いと別れを繰り返して人は成長するのかもしれない。でも、いつだって目の前には「今」しかなくて―。それぞれの想いを胸に抱えながら、八幡、雪乃、結衣が選ぶ「答え」とは。新たなる青春群像小説、物語は最終章へ。

俺ガイルの感想を書くの、およそ5年振りです。前巻の感想は長男が生まれた直後に書いているようなので、隣で大騒ぎしている息子が成長してきた時間、俺ガイルに触れてこなかったということ。

こう書くと何かあるのかと思われそうだけど。そもそも今年に入って感想を定期的に書き出すまで、日常に余裕がなかっただけ。たったそれだけ。そしてこの余裕も、いつまでのことか。物事はいつだって変わりゆく。特に人と人との関係は……。

八幡、雪乃、結衣の関係は明確に動き始め、変わり行こうとしている。永遠に思えた心地良い人間関係。それもいつかは違うカタチになってしまう。高校生という限られた時間の中で形成される特殊な人間関係は、いつかは終わる。

陽乃は三人の関係を的確に見抜いていた。共依存関係。互いが互いを補い合い、頼り合うことでできた強固な繋がりは、いつか終わりがくることが決まっているのなら、その歪な結びつきを解かないとならない。だからこそ雪乃は自ら行動をして、自分自身を母親に証明しようとしている。

他人に頼られること。それを気持ちが良いと感じるのか、面倒だと感じるのかは別れるところだと思う。八幡の決定的な言動は雪乃か結衣が苦悩した末に起きていることを考えると、陽乃の言っている通り。三人の関係がそれぞれの独立を阻んでいるのなら、何処かで何らかのこの青春劇に決着を付けなくてはならない。何も決めなければ、ただ人間関係の距離だけが開いて、やがて溶けるように消えていく。三人の青春の行き先は何処にあるのか。その終わりは、僕がこの巻を読んでいる時にはもう決まっているのだ。

「探偵くんと鋭い山田さん 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる」感想

探偵くんと鋭い山田さん 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる (MF文庫J)

〈あらすじ〉
新学期――俺は失敗した。 親の仕事が探偵だと口走ってしまったせいで、クラスメートから相談が持ち込まれるようになったのだ。絶版した小説の犯人当て、美術部で振るわれたナイフの謎、面倒なことになったと頭を抱える俺だったが――
「それさ、そもそも事件じゃないね~」
「多面的な考え方も取り入れたらどう? 戸村君」
何があっても山田姉妹は平常運転、鋭い推理でスパッと解決していく。最初は気に食わなかったけど、本気で推理する彼女たちは今では尊敬の対象だ。……が、話すときの距離、近すぎない!? 熱くなるのは分かるけど、これ完全に狙ってるよね!? 山田さんたちと俺の少し甘めな、学園ミステリーラブコメ

作者の玩具堂さん、勝手にMF文庫Jデビューの作家さんかと思っていたらスニーカー出身の作家さんでした。その程度の知識です。お名前は良くTwitterのタイムラインで見ていましたが読むのは今回はお初になります。

何だろう、すごく素朴な話でとても読みやすかった。大事件ではなく、ちょっと不思議な事件を探偵の息子である高校一年生の主人公と同級生の美少女双子姉妹が解き明かしていくお話。一話につき一つの事件が起こる形式で、三人それぞれの個性とバランスを活かしながら、謎解きをし、謎から解決までがパパッと早く至るので短気な僕もこれにはニッコリ。主人公と双子姉妹……特にクールな妹ちゃんとの関係が僕は気になって仕方ないのですが。

表紙イラストは双子の姉の方だけど、これは双子が探偵コスプレでも可愛かったような。そうです、僕は妹ちゃん派なのでした。まる。