飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「宵の国戦記 1 最強の暗黒騎士は平穏に暮らしたい」感想

宵の国戦記 1 最強の暗黒騎士は平穏に暮らしたい (ドラゴンノベルス)

〈あらすじ〉
史上最悪の種族間戦争が迫っていた。悪辣な人間は自演した戦死を理由に弔いの大攻勢を計画。対するは、国の四方を僅か四体で守護する魔族最高位・四大主。その内が一人、魔族でありながら人の魂を持つ転生者“魔剣のゴーダ”には願いがあった。平穏に暮らしたい―と。戦いの中、人間の姫と巡り会った時、ゴーダの世界を相手にした戦いが幕を開ける。第3回カクヨムWeb小説コンテスト異世界ファンタジー部門特別賞。

なんとなく「表紙カッケー!」から読み始めたのだけど、いや、面白かった。ここ最近で読んだ中では多いページ数だがそれも気にならないほど集中して読めた。

現代日本人が異世界ファンタジーの魔族に転生して、長命を活かし300年かけて修行、魔王(のような存在)に仕える四天王の一人にまで出世します。魔族が住む「宵の国」は人間の暮らす「明けの国」に囲まれていて、東西南北それぞれを四天王が守護。東を護る元人間のゴーダは「部下との平穏な暮らし」を求め、「明けの国」との和平を計画する。というのがストーリー。

正直、かなりストレスをかけてくる作品だと思う。主人公ゴーダは確かに強いけど、世界をどうこうするほどではなく、なかなか思う通りにいかない。逆境を華麗にひっくり返して気分爽快とはいかず、人間たちの陰謀に嵌り、悪い方向に進んでいく。一筋縄ではいかない敵の存在は、個人的には歓迎でさてこれからどうやって主人公ゴーダが戦っていくのかワクワクする。この読者にかけられる負荷を楽しめるかどうかがこの作品のキモかな。

とはいってもストレスは解消したいので最終的には気持ち良くなりたいよねえ。

「世界一可愛い娘が会いに来ましたよ!」感想

世界一可愛い娘が会いに来ましたよ! (MF文庫J)

〈あらすじ〉
久遠郁(17)高校二年生―突然ですが、娘ができました。ある日、郁のもとに娘を自称する女の子・燈華がやってくる。子作りした覚えがない郁は大変焦るのだが、燈華はお父様とママの将来を救うため未来から来たらしい。だが、帰る方法はおろか、肝心のママを忘れていて…?二人は手掛かりとなる将来のママを探しはじめる。候補は郁がよく知る三人の女の子。彼女達と距離を縮めるため、燈華が持ってきたアイテム・通称「パパーツ」を駆使する―のだが。え、最初のパパーツは哺乳瓶?ママリティが高くないとダメぇ?これ、本当に大丈夫なの!?果たして、未来のママは誰なのか。燈華は無事に帰れるのか―!?

気になっていた作品をようやく読めました。読み終えてから知ったのですが、新人賞作品だったんですね。なつめえりさんのイラストが素敵すぎるのでもっと堪能したい。(口絵を眺めながら)

さて未来から自分とほぼ同じ年齢の娘がやってくる、という良くありそうであまり見ない設定の本作。可愛い娘ちゃんは記憶喪失のため、実のお母さん=主人公の奥さんのことを覚えていない……という好都合(ぉぃ)な状況なので、仲の良いヒロイン(?)たちの誰と結ばれるかドキドキしながら見守るラブコメです。

主人公くんはヒロインたちの誘惑に負けそうで負けないどっちなのか良く分からない理性と貞操観念の持ち主なので、どのヒロインともくっつきません。娘の手前、未来に対して責任を覚え慎重になってる感じなのかな。フィクションなので「娘は一人じゃなくても良くね?」と思ってしまうのはダメな大人です。

先にも書いたのだけど、新人賞作品なので完結はしてるカタチではあるけれど、誰かと結ばれるのは確実なのでそこまで描いていくのかな。

「りゅうおうのおしごと! 13」感想

りゅうおうのおしごと! 13 (GA文庫)

〈あらすじ〉
三段リーグ最終日の翌日。
『史上初・女性プロ棋士誕生!』の報に日本全土が沸き立つ中、雛鶴あいは関西国際空港を訪れていた。 親友の水越澪が海外へ旅立つのを見送るために……沈みがちになる気持ちを隠して明るく振る舞うあい。 意外な人物との再会をきっかけに、事態は思わぬ方向へと動き出す。
「最後に一つだけお願いがあるんだ」
同じ頃、あいの師匠である八一は東京の病院にいた。満身創痍で眠り続けている銀子の傍らに……。あい、澪、綾乃、シャル、そして天衣。五人の少女が集う最後の一日を描いた、約束の13巻!! 飛び方を覚えた雛鳥は今、大空へと羽ばたく――

各種特典にて収録されていた短編を集めた一冊となっているので、怒涛の流れできた中での箸休めかな。「続きが早く読みたい!」と思ってる読者は悶々としちゃうかも(笑)

ただあとがきにも書いてあったけど、今は世の中が世の中のため、イベントは中止になってるし、取材が大きな意味を持つ作品にとっては苦しい日々だと思う。

しかし現実がラノベを追い越していく世の中でもあるけれど、現実は現実、フィクションはフィクションとしてそれぞれ楽しめれば良いですなあ。特に女の子関係はフィクションでしか出来ないぞ……出来ないよね?(真顔)

「宮本サクラが可愛いだけの小説。2」感想

宮本サクラが可愛いだけの小説。2 (MF文庫J)

〈あらすじ〉
とにかく可愛い幼なじみと織りなすイチャかわラブコメ第二弾!宮本サクラはやっぱり可愛い。なぜって、理由1 デートに行くと空回りして可愛い。理由2 自分を磨くためにモデルをやっていて可愛い。理由3 勢いでニクタイカンケイを迫ろうとして可愛い。理由4 なんだかんだで一緒にお風呂に入ってくれて可愛い。理由5 相変わらず胸も大きい。…ほら、これだけ揃えば可愛いに決まってる。サクラがモデルをやっていることが明らかになったり、サクラのライバルがちょっかいを掛けたりもしてくるけど、相変わらずこの小説はサクラを愛でるためだけに存在してるんだ。―あ、世界の秘密も少しずつ明かされ始めます。

電子書籍で読んでるせいで装丁で分からないからアレだったのですが、前回もだけど、この作品、相当文庫本の厚みは薄いよね。文庫本でのページ数確認したら230ページほどだし、もうちょいボリュームあってもいいかも、と思ってしまう。

それと同時に、ほんとマジでタイトル通り「宮本サクラが可愛いだけの小説」なので、あんまりボリュームあっても内容がしつこくなっちゃうのかな、とも思ったり。

まあ何にしてもイラスト担当のrurudoさんの描くサクラは最高に可愛いですね。口絵は見開きで複数枚描いてて素晴らしいですよ。可愛いサクラ可愛い。サクラはアホの子だなあ、と思っていたら両親もある種のアホの子だったのは良かった。

「ダークエルフの森となれ -現代転生戦争-」感想

ダークエルフの森となれ -現代転生戦争- (電撃文庫)

〈あらすじ〉
輝獣と呼ばれる自然脅威から日本を守る騎士候補生として学園生活を過ごす朝倉練介は、誰よりも駆動鉄騎の扱いに長け、優等生の仮面を被り、だがしかし温度のない日常に倦んでいた。 そんなある日、木の上から突如彼に飛びかかってきたのは、一人の黒ギャル女子高生……もとい異世界から転生してきたというダークエルフ、シーナだった。 挑発的な態度、嗜虐にみちた言葉、それでいて明るい、日だまりのような笑顔。そんなシーナに眷属として見初められた練介は、彼女とマンションで同棲を始め、やがて異世界から転生してきた魔術種たちの生き残りをかけたバトルロイヤルに巻き込まれていく。 これは世界から零れ落ちた二人の、大それた神話で――黙示録だ。

久しぶりに水瀬さん作品を読みました。水瀬さんなので絶対表紙イラストから想像するようなお話じゃないだろうなあ、グロ注意な作品だとうなあと思っていたら、だいたい当たってた。

取り留めのない日常に違和感を覚えつつも、自分を誤魔化しながら日々を送っていた主人公の高校生・練介は、ダークエルフのシーナと出逢い、彼女の眷属になる。平穏な日常を捨て、人間をやめ、シーナと共に非日常へと足を踏み入れる。

パワードスーツに未知の怪物がいる現代に、異世界ファンタジーではお馴染みの亜人種やモンスターたちが転生。人間を使い魔=眷属にして、生き残りをかけた戦いを繰り広げる。結構設定盛り盛りの世界観だけど、そこは抵抗なく読めるし、しっかり全ての材料を料理をして濃厚な作品に仕上がっていて面白かった。エロさあり、グロさありの塩梅もちょうど良く、特にグークエルフのシーナさんは色っぽくて、容赦なくて、でも変わり者に人間の眷属である練介には優しいヒロインです。

タイトルの意味も後半戦で明らかになって、なるほどそういうことかと納得。しかしロボ要素で黒銀さんが参加してるのは流石といわざるおえない。(笑)

「今宵はジビエを召し上がれ 函館のフレンチシェフは謎解きがお好き」感想

今宵はジビエを召し上がれ 函館のフレンチシェフは謎解きがお好き (双葉文庫)

〈あらすじ〉
北海道の函館にたたずむ、ジビエフレンチレストラン『フォレアンシャン』。 女子大生の小桧葉陽葵は、ひょんなことからこの店のオーナーである御世野景悟と出会い、アルバイトをすることになる。 食材にこだわり、自分で狩りまでするほどの料理オタクの景悟だが、同時に『謎』にも目がない。 陽葵は景悟とともに、店に来た客においしい料理と『謎解き』を提供することになり――。

梅雨が明けて暑くなってきましたね。この時期になると薄着になるせいで、非常に痩せてる私は周囲から「大丈夫? ご飯食べてる?」とやたら心配されます。ご飯は食べてますが、食は細いので一杯は食べられません。小学生が好きなメニューが好物なので、函館に行くとだいたいラッキーピエロの食事で満足する、そんなグルメとは縁遠い人生送ってます。

狩猟というと「ゴルフと同じくらいの費用で出来るから鉄砲やろう」と以前誘われたことがあります。いや、ゴルフと同じ費用と言われて納得しかけたけど、一回諭吉は飛んでいきそうだよねえ。なので興味はあったけどお断りしましたが。

狩猟+レストラン+ライトミステリーの本作。家族に対して悩みを抱えた女子大学生のバイト先となるジビエ料理を扱うレストランを舞台に、イケメンオーナーやシェフが登場して、小さな謎を解いていきます。ジビエって聞いたことあるがなんぞや、と思っていたら野生の動物を狩って料理するもの。作中でも説明があったけど、自分で狩猟するので仕入れや質のバラ付きが凄そう。仕入れもする仕事をしてるとそういうのすとても気になるので(笑)

フランス料理……と聞いて少し構えたけど、読み口として敷居も低いし、サクサクと読み切れた。親近感ある分、主人公の祖母が作る素朴な朝ご飯描写に腹が鳴りました(笑)