飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「カノジョの妹とキスをした。2」感想

カノジョの妹とキスをした。2 (GA文庫)

〈あらすじ〉
初めての恋人・晴香と付き合って一ヵ月。親が再婚し恋人とそっくりな義妹が出来た。名前は時雨。晴香の生き別れの妹だ。俺はそんな義妹とキスをした。重ねられた時雨の唇の感触が忘れられない。晴香とキスはそれに塗り潰されて思い出せないのに。時雨を異性として意識する時間が増える。でもそんなのは晴香に対する裏切りだ。俺は晴香との仲をもっと深め、時雨と距離を置こうとする。だが俺がそう決意した日、時雨が高熱を出して倒れてしまい…?彼女の双子の妹からの告白。高2の夏休み。お泊りデート。動き始める“不”純愛ラブコメ、『堕落』の第二巻!

ちょっと待って欲しい。あらすじの最後に「ラブコメ」とあるけれど、公式がデマです。それはもう気持ちが良いくらいコメってません。そう良い意味で。滅茶苦茶面白かった。

カノジョの双子の妹・時雨(しかも義妹属性つき)に好意をもたれ、キスをしてしまった主人公の博道くん。高校生の童貞少年がキスをされて「あれをなかったことにしよう」と済ませることはできるはずがなく。カノジョである晴香に罪悪感と、そして時雨とのキスの影響で肉体的な欲求を求めるようになった博道がやや暴走。単なるキスを超える接触に拒否反応を示す晴香に今度は恐怖感を追加させ、ますます精神的におかしくなる博道、それをガッツリ受け入れる時雨……といった具合に、倫理的には駄目な方向にぐいぐい進んでいく感じに変な汗かきました。

博道の終盤のコンドーム持ち出した時にはだいぶきてるな、と思ったが、それに対する晴香の当然の反感からのその意図説明、カップルの間は「清らかな関係でいよう」には、コッチもコッチでキツイこと言ってるなー、と。それを聞いてた時雨さんの晴香へのカウンターが今度はいかなる方向に導くのか、すっごい期待してます。博道がこれだけ落ち込みのだから、晴香への恋心・想いは本物なのだろう。それだけに晴香を傷つけた時雨に厳しく出そうで(おまいう)ますますカオスになるそう。

「転生魔王の大誤算 〜有能魔王軍の世界征服最短ルート〜」感想

転生魔王の大誤算 ~有能魔王軍の世界征服最短ルート~ (GA文庫)

〈あらすじ〉
歴代最強の実力を持つ魔王ケンゴーにも決して漏らせぬ秘密があった。「転生前より状況がひどくない!?」前世の彼は、伝説の不良だった兄と勘違いされ舎弟たちから尊敬を集めた、草食系高校生の乾健剛だったのだ!今度こそ平穏に生きたいのに、より凶悪な魔族達に臣従され、いつ本性を見抜かれるかハラハラの生活を送るケンゴー。だが命惜しさに防御魔法を極めれば無敵の王と畏敬され、ハーレムに手を出す勇気がないだけなのに孤高だと逆にモテ、臣下の顔色を窺えば目配りの効く名君だと絶賛の嵐で、第二の人生は順風満帆!?これは己の強さも権力も持て余し、誤算続きで名声まで爆上げしてしまう、転生魔王のサクセスストーリーである!

最近気が付いたというか嘘随分前から気付いてたけど、あわむら赤光作品を結構フォローしているなあ、と。「買っておけば面白さについてはとりあえず間違いないだろう」という安心感がね。僕の中ではリスト入りしてます。

ヘタレな高校生が魔王に転生したのだけど、ヘタレであることを側近たち(一部除く)にバレないよう、人族たちと争いを繰り広げる日々を送ってるケンゴー。魔王ケンゴーのヘタレな態度や言動が何故か側近たちに深読みされて畏敬に変わるお約束感があり、魔王サイドの物語なのにほのぼのしてる。

本人は争うことを嫌っているけれど、実力は魔王の名に恥じぬ力の持ち主。でもゆるーい側近たち(強い)にビビりまくってる、ケンゴーと愉快な仲間たちのコミカルな感。これを楽しめるどうかがこの作品の肝かな。ヘタレでビビりなだけに油断のない魔王ケンゴーの覇道=恒久的な世界平和への道程は、うん、側近たちとおかしな人族たちのせいで遠そうだなあ。

「りゅうおうのおしごと! 13」感想

りゅうおうのおしごと! 13 (GA文庫)

〈あらすじ〉
三段リーグ最終日の翌日。
『史上初・女性プロ棋士誕生!』の報に日本全土が沸き立つ中、雛鶴あいは関西国際空港を訪れていた。 親友の水越澪が海外へ旅立つのを見送るために……沈みがちになる気持ちを隠して明るく振る舞うあい。 意外な人物との再会をきっかけに、事態は思わぬ方向へと動き出す。
「最後に一つだけお願いがあるんだ」
同じ頃、あいの師匠である八一は東京の病院にいた。満身創痍で眠り続けている銀子の傍らに……。あい、澪、綾乃、シャル、そして天衣。五人の少女が集う最後の一日を描いた、約束の13巻!! 飛び方を覚えた雛鳥は今、大空へと羽ばたく――

各種特典にて収録されていた短編を集めた一冊となっているので、怒涛の流れできた中での箸休めかな。「続きが早く読みたい!」と思ってる読者は悶々としちゃうかも(笑)

ただあとがきにも書いてあったけど、今は世の中が世の中のため、イベントは中止になってるし、取材が大きな意味を持つ作品にとっては苦しい日々だと思う。

しかし現実がラノベを追い越していく世の中でもあるけれど、現実は現実、フィクションはフィクションとしてそれぞれ楽しめれば良いですなあ。特に女の子関係はフィクションでしか出来ないぞ……出来ないよね?(真顔)

「やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく」感想

やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく (GA文庫)

〈あらすじ〉
白金小雪。美少女だが毒舌家で「猛毒の白雪姫」と呼ばれる彼女をナンパから救った笹原直哉は、彼女が強がりと嘘で武装しただけのか弱い少女に過ぎないことを知る。 颯爽と助けてくれた直哉に一目惚れした小雪と、小雪のいじらしい態度に一目惚れした直哉。素直になりきれない二人は、お互いの「好き」を確かめるために少しずつ心を通わせていく。 WEB小説発、ハッピーエンドが約束された、甘々ラブコメディ。

まず言わせてください。ふーみさんのイラストかわえええええ!!!特に表紙のクールな小雪が次のページでは赤面してるイラストは最高すぎて購入の決め手になりました。

本作は「なろう小説」発ということで。聞いたことないから初めて読む作家さんだなー、と読み終えて、あとがきを見たら実はGA文庫デビュー作家の別名義と。最近の作家さんの名前に疎いですが、霜野おつかいさんは知ってるぞ!何故かドヤ顔。

察しが良すぎる高校生の直哉と、毒舌で有名な美少女……でも実はそれは照れ隠しで本音は素直な良い子である小雪の甘々ラブコメ劇でございます。前述した通り、主人公の直哉は察しが良すぎるほど察しが良いため、小雪の毒舌から真実の彼女を看破。小雪はそんな自分の本当の姿を見抜いた直哉に好意を抱き、また直哉も彼女を好きになってしまう。友達以上恋人未満な関係をひたすら続けていきます。

ズバズバと人の心を読み取っていく直哉であるが、自分の「恋心」となるとポンコツ化して大好きな小雪の前では今までやったことないようなミスをしたり。自分の恋心に気づいた途端、グイグイ行く直哉くん、ちょっと怖いぞ。まあグイグイいかれて満更でもない小雪もいるので良いかと。あとまだ彼氏彼女の関係でもないのに、小雪の家族からは一員のように扱われるの面白い。特にお義父さん、攻略できるくらい直哉に対する好感度高くて笑った。

全体的に読みやすくて笑える良いラブコメだった。公認でサッサと恋人関係になった方がより面白くなるような気もします。

「天才王子の赤字国家再生術7〜そうだ、売国しよう〜」感想

天才王子の赤字国家再生術7~そうだ、売国しよう~ (GA文庫)

〈あらすじ〉
ディメトリオ皇子とその家臣達は、会議の場で困惑していた。
(どうしてこいつがいるのだろう)
会議に参加しているナトラ王国王太子ウェインも思っていた。
(どうして俺がここにいるんだろう)
三皇子のいがみ合いで長らく膠着状態が続いてきた帝国の後継者争い。だが、長兄ディメトリオが戴冠式を強行するため兵を挙げたことで、状況は大きく動き始める。 ロウェルミナ皇女から協力要請を受けたウェインは帝国に向かうが、なぜか一番勝ち目が無さそうなディメトリオ派閥に参加する羽目に!?
「だが、最後に笑うのはこの俺だ」
謀略と戦乱が渦巻く第七巻!

売国シリーズ、おもしれえええ!!
今回も読み始めたか時を忘れて読み耽っておりました。最高に面白いし、キャラクター全員個性が強くて好き。敵陣営も含めて好きだわ。

第一皇子ディメトリオが戴冠式を決行、から始まった帝国内の皇帝争奪戦。ロウェルミナの策略によって一番勝ち目のないディメトリオ陣営の味方をすることになったウェインがどうやってポンコツ皇子を担いで行くのか。圧倒的不利の中、ウェインのいつもの「ひっくり返し」に痺れました。

最初はウェインを警戒していたディメトリオが、危機的状況から彼に助言を求めた辺りからポンコツ皇子を応援し始めている自分がいた。メチャクチャ嫌なやつなのに、実は純粋な彼のことを知れば知るほど悪意を持てなくなっていく。本質的には悪いやつじゃないんだよね、ただ能力がなかっただけなんです。(酷い)

ディメトリオを排除するための第二皇子・第三皇子の策略を逆に利用しての一発逆転。ロワが言っていた通り、泥舟に乗ってもしっかり乗りこなしてしまう力。どんな逆境も味方につける頭脳。ウェインを知る内乱に参加してた者はずっと彼を警戒していたのに、それでもやり込められてしまう。そういう意味ではロウェルミナもなかなかだが。最後、ディメトリオにある種の仕返しをされたのは面白かった。場の収め方としてはディメトリオの対応は凄かったな。憑物が落ちた感じ。

騒動に乗じてロウェルミナが女帝になることを宣言して、皇帝争奪戦は終盤に向かいそう。それと話は変わるけど、フラーニャはこのまま成長させる感じで良いんですかね。なんか不穏な感じがします。(汗)

「家族なら、いっしょに住んでも問題ないよね?」感想

家族なら、いっしょに住んでも問題ないよね? (GA文庫)

〈あらすじ〉
「そこ、部屋を裸とか下着で歩かないっ!先輩を誘惑しないでっ!」
天涯孤独となった高校生、黒川真は、なぜか4姉妹と住むことに――。 小説家の長女、「きみは生理的にOK」と、クールな高校生の次女、元気いっぱいで、真になついてくる小学生の四女、そして――。
「あ、あのっ!あ、あたし……、黒川先輩のことが……好きです」
「君にはふさわしくないよ。俺は」
中学の卒業式に告白をお断りした後輩が三女だった!? 真面目で堅物な後輩、姫芽は同居に対してツンツン。真の方も一緒に住むことに気まずさを感じる(ですよねー)。 誘惑の多い同居生活と過去の恋。甘く、もどかしい青春ラブコメ開幕!

本作を注文してから作者が高木幸一さんだと知りまして、いやー久しぶりに高木さんの作品読むなあと思っていたら新作そのものが5年振りという。そんなに期間が空きましたか。時が経つのはあっという間だし、毎月これだけラノベが発売していると買い手に名前を覚え続けて貰うのも大変だなあ、と。

僕、この手の「行先のなくなった主人公が女性ばかりの家にお世話になる」系のお話、好物なんですよね。購入のキッカケもあらすじ。本作は天涯孤独になった高校一年生・黒川真は遠縁に当たる四姉妹(美少女)のお宅に家事手伝いとして世話になる。しかしそのお家の三女は中学卒業時、真に告白し断った後輩・姫芽だったという、なんという気まずさ。

まあお約束のように最初は姉妹たちとギスギス距離もあったのだけど、真の誠実な人となりが分かるにつれ、本当の家族の一員として迎えられていくアットホーム青春劇。ただその「家族」の形が兄弟姉妹としてなのか、恋人からやがて夫になるような「家族」のことなのか。本当の家族になるなら後者がいいよね。先輩・後輩の関係にある姫芽に焦点が当たる中で、他のヒロインが遅れを取るというか噛ませ犬感が出てしまうけど、個人的にはクールな次女・波月が好みです。

物語なのであまり心配しても仕方がないのだけど、真のお給金が四姉妹の亡くなった両親の遺産から出ているの、結構な金額払ってるから財政事情が気になる。(汗)