「オブザデッド・マニアックス」感想
- 作者: 大樹連司,saitom
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/06/17
- メディア: 文庫
- 購入: 4人 クリック: 63回
- この商品を含むブログ (20件) を見る
――だから願う、大感染の日を。――だから信じる。大感染の終末を。
なんというゾンビ・パンデミックのハゥトゥー本。
つまらない日常に嫌気がさした思春期の子供――特に自己主張することも出来ず、教室の一角で静かに埋もれている中高生なら、自分がヒーローになる物語を妄想するのは良くあること。その妄想が現実のものになったら…。
ゾンビ映画が大好きでゾンビを愛して止まない陰気な主人公・安東が夢見た展開が現実のものになる。突如ゾンビに襲撃されて混乱する人々の中、ゾンビ映画っやゲームの主人公のように輝こうと奮起する安東だがどうにも歯車が噛み合わず上手くいかない姿が滑稽で、ゾンビに囲まれ緊張感溢れる展開なのに笑わずにはいられない。
ゾンビ映画のテンプレのような状況に置かれ、そのまま物語もテンプレに従って動いていくのかと思ったが、中盤以降の話にギョッとする。安東同様、ゾンビ愛に心を支配された優等生・莉桜はショッピングモールに立て籠もり、安東が出来なかった英雄的行動を行い、クラスメートを導いているが、結局彼女の心にあるのは「日常に帰りたくない想い」であり、そのためにショッピングモールという非日常の箱庭から誰も出したくはない、というゾンビ映画お得意のバッドエンドへ誘おうとしている様が人の恐ろしさを感じる。
物語の大部分をグズグズ悩んでいた安東が、最後にはハッピーエンドのために熱く突き進む姿は爽快だったな。序盤は単なるヤラレ役の金髪ビッチで終わりそうなキャラだったいずなの終盤の株の上げようといったら、本来ヒロインである莉桜が霞むようだ。
ところでこのラノベは、ゾンビラノベではなくおもらしラノベで宜しいんですよね?