「赤鬼はもう泣かない」感想
- 作者: 明坂つづり,白身魚
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/06/17
- メディア: 文庫
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ここめさんはぼくの指をちゅ−ちゅーした。
ぼくはここめにちゅーちゅーされた。
麻枝准さんが帯に『ここまでキャラとギャグが書ける作家はなかなかいない』というコメントを寄せていて、青春分強い白身魚さんがイラストなのにギャグ小説?と首を傾げながら読み始めたものの、終わってみれば正しい絵師選択だったと納得しました。
女の子の二の腕を舐める変態中学生というレッテルを張られた大豪は言い訳も認められず(事実だからね)、変態の彼にぴったりの中学校へ強制的に転校させられてしまうシーンから始まり、このおバカな展開と軽快な掛け合いにひっぱりこまれる。転校先の学校で出逢った指チュパ女ことここめの可愛さとチョパチュパに、おかしな先生やクラスメートとのシュールな漫才のような会話にクスクス笑ってしまう。大豪が実は『垢嘗』という妖怪との半妖である衝撃的な事実が母の口からサラッと明かされ、女の子の二の腕を舐めたくなる衝動の正体が分かってしまう場面の大豪の不憫さと言ったら。
軽快かつシュールな笑いの展開は中盤を過ぎると、大豪とここめの青春モノへとシフトしていき、赤鬼にまつわる物語へ進んでいく。この展開こそガガガ文庫レーベル好きの読者が望んでいるものなんだろうなあ。
好きな女の子のためにがむしゃらになる男の子は良いですね、ほんと。