飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「魔法科高校の劣等生 2 入学編 下」感想

魔法科高校の劣等生〈2〉入学編(下) (電撃文庫)

魔法科高校の劣等生〈2〉入学編(下) (電撃文庫)

「不足している現代魔法の才能を、別の才能で埋めた。
その術があったから、こうして第三者的な論評をしていられる。
もしそうでなかったら……『平等』という美しい理念にすがりついていたかもしれないな。
それが嘘だと分かっていても」

風紀委員として剣道部と剣術部の騒動を解決したと思っていたら、この騒ぎを裏で糸を引いていた組織があるということで動き出す達也たち。歳に似合わない相変わらずの落ち着きを見せる達也と、そんな兄を敬愛する深雪、そしてエリカを始めとする二科生の仲間達の活躍が胸を熱くするお話でした。
一科生と二科生、優等生と劣等生という差別意識が学園にある中で、全く揺るぐことのない達也と深雪。周囲が二人に張っているレッテルなどに左右されず、お互いを信頼している姿が良く描写されているのがこの作品の魅力であるのが、この下巻でも変わることはなかった。
「二科生は差別を受けている」と主張する一部学生たちの行動が表に出るものの、差別を受けていることを楯にして努力を放棄している彼等の言葉は、弛まぬ努力の結果、魔法以外の才能を体得した達也を冒涜するもので、そんな兄を見守り続けていた深雪が彼等の主張に怒りを覚えるのはもっとも。深雪の絶対零度の怒りに触れたくはないものです。
一科生と二科生の違いはそう大きくはないものであり、風紀委員の達也の活躍や、今回生徒会長である真由美が「生徒会長以外の役員は一科生から選出する」規定を撤廃すると公約するなど、このまま行くと早くもタイトルの意味が上巻1冊のみの話になってしまうのでは…。
学生運動を隠れ蓑にしていた組織『ブランシュ』掃討は一科生・二科生混合チームの良い噛ませ犬でした。
次回からの『九校戦編』は他校のエリートから二科生の達也が貶まれるが、いざ戦ってみると達也無双になってスッキリするそんなお話でしょうか!