飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「恋のキューピッドはハンドガンをぶっ放す。」感想

恋のキューピッドはハンドガンをぶっ放す。 (ガガガ文庫)

恋のキューピッドはハンドガンをぶっ放す。 (ガガガ文庫)

「神尾紅羽、僕のために戦えよ。いずれ僕は比嘉財閥を継いで世界を動かすほどの人間になってやる。その時お前に、僕の隣でその景色を見る権利をやる。だから頼む、僕のために戦ってくれッ」

財閥の御曹司を護衛するために転校してきたのは傭兵の美少女だった、とあらすじを聞いた時点で「あれ、それなんて性別逆転フルメタ?」と思わない人はいないでしょう。ええ、まさにその通りでした。
『女版・相良宗介』と言ってもいい美少女傭兵・紅羽が、性格のひん曲がった御曹司・銀史郎が惚れたクラスの美少女・楓との恋を実らせようと『恋愛必勝マニュアル』を元に行動するのだが、常識外れなアプローチばかりで成功するはずもなくそれどころか楓に引かれてしまう始末。傭兵として育ってきた彼女に常識などあるはずもなく、またボンボンのお坊ちゃまである銀史郎もまた世間一般の常識とは縁遠いため、どうしておバカな行動に出てしまう二人にもう笑い転げるしかない。これがフルメタなら銀史郎にハリセンを持たせたいところだけど、銀史郎もアホのためツッコミ不在で猪突猛進していく様もこの作品の良いところ。
紅羽の手を借りて銀史郎が楓にあの手この手でアプローチしていく中で、銀史郎が紅羽の女性らしい一面や彼女の暗い過去を知り、次第に惹かれていく。読んでいて分かる、この二人お似合いですわ。
紅羽の父兄を殺した凄腕の傭兵との戦い、黒幕の登場、トラウマの解消、二人の気持ちの確認と告白など終盤かなり駆け足になっていたが、概ね満足。
伏線を全て回収していたところを見ると続きはないのかな。