飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「白翼のリンケージ」感想

白翼のリンケージ (白翼のリンケージシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

白翼のリンケージ (白翼のリンケージシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

おれの胸ぐらをつかんだ明日花の手をさらにつかみ取り、おれは不敵な笑みを浮かべた。
「正しくは、あんたが背負いきれなかったものだ。おれはそいつを背負って戦う」
明日花の手を放り出し、額をぶつけんばかりの距離で静奈の仄暗い瞳を睨み付ける。静奈の瞳孔が開き、大きな瞳が月光を受けて輝きを取り戻す。
「おれはあんたとは違う! てめーのやり方は死んでも曲げねえ! その上で、誰も犠牲になんかしねえ! 仲間も他人も、限界すれすれのラインまでみんな守る!」

感染した人間を異形の怪物『イル』に変えてしまうウィルスが蔓延する現代の日本で、そのイルを狩る者達。
イルをたったひとりで狩る主人公の楓は、感染者に対抗する組織に所属するヒロイン明日花を庇ってウィルスに感染してしまう。更には変貌していく楓を救うため、明日花は自分の血に含まれたワクチンを口移しで楓に飲ませるが、その対処が妙な作用を引き起こし、何とか助かった二人の身体と心が『リンク』して相手が感じたこと想ったことが全て伝わってくる状態に。どちらかが死んだら自分も死んでしまうので、お互いを守るために共同生活を始めるが…というお話。

序盤は楓と明日花の言動が似ているので差別化が難しく、どちらが喋っているか分からずその都度巻き戻って確認する作業をすることになり先行き不安になったが、読み進めていく内に二人の性格の違いが分かってきて楽しく読むことが出来た。楓と明日花の心がリンクしているため、口では罵り合っているもののお互いを憎からず想っているのが伝わり、それを読んでいる顔がとニヤニヤしてしまう。
日本刀を使ったバトルは良い意味で中二病全開。ヒロインの危機に怒り、力を解放し敵を撃退するお約束展開、僕は好きですよ。

まだまだ先が長そうな締め方をしたので、打ち切りが心配であるが期待したい作品。