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飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「全滅なう」感想

ライトノベル 一迅社文庫

全滅なう (一迅社文庫)

全滅なう (一迅社文庫)

夕鶴子さんは、きれいだ。今まで見た誰よりも、どんなものよりも。
この決定的なとき、死の直前に、夕鶴子さんがすぐそばにいる。笑えないわけがない。
「夕鶴子さんに会えて、本当に良かった! ありがとう、夕鶴子さん!」
「天川! あたしも……!」
夕鶴子さんは、泣いていてもすごくきれいだけど、ぼくはやっぱり、笑った顔が見たいな。
すこしでいいから、笑ってくれないかな。
ぼくも、笑うから。

愛すべき青春バカヤロー主人公のせいで、浜辺に打ち上げられた魚のようにバタバタと身悶えしながら読みました。
引きこもりの少女と、彼女を学校に登校させようとする主人公との出逢いから描く、『十文字青』らしい設定で味付けされた青春小説。

最初はただ引きこもりの少女・夕鶴子を学校に登校させて点数を稼ぎたかっただけの主人公・天川だったが、次第に夕鶴子に惹かれ始め、彼女の一挙手一投足が気になる描写がキチンと書かれている。読者側としては天川が夕鶴子に恋をしているのは一目瞭然で、しかしそれを意識していなかったり、また意識し始めても『恋心』は邪念であると追い出そうとしたりする彼の行動が面白いと同時にもどかしさを感じた。それでも心は素直だよね。夕鶴子が天川に微笑むだけで天にも昇る浮かれ気分になるのは、恋を経験した男なら誰しも分かる感情だと思う。

非日常の者達と生き、人を消滅させる『全滅因子』を持つ夕鶴子に恐怖することなく、青春少年を貫き通した天川。
天川が恐れていたのは恋によって人生設計が狂うことであり、結局はそれの恐れも夕鶴子への恋の前には綺麗に消し飛んでしまった(己の身体ごと)

消滅した天川が夕鶴子によって再生され、二人の絆が深まり、さあ次巻以降はどうなるのか! と期待してますが一迅社さん、続きは出せますよね?
天川と夕鶴子中心の物語ではあるが、クラスメートや異形のモノ達含め魅力的なキャラクター揃いなので次巻から掘り下げ希望です。