飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「楠木統十郎の災難な日々―ネギは世界を救う」感想

楠木統十郎の災難な日々―ネギは世界を救う (電撃文庫)

楠木統十郎の災難な日々―ネギは世界を救う (電撃文庫)


前作の『小さな魔女と空飛ぶ狐』からガラリと印象を変えた本作。内容も『小さな魔女と空飛ぶ狐』とは違う面白さがあった。

頭の回転は速いが体力には自信のない主人公楠木統十郎と、大和撫子を絵に描いたような容姿ではあるものの辛口の優希・誰が見ても美少女だが実は『男の娘』の和希の双子は、世界を滅ぼすあるモノに『存在確定情報』を食べられて死んでしまう。高次元存在の『猫耳』によって何とか再生された三人ではあったが、それは一時的なものであるため、世界を滅ぼす存在――アノマリーを倒して『存在確定情報』を取り戻さないと消滅してしまうと言う。猫耳の指示に従い、アノマリーに対抗する武器を手にするも、それは何処からどう見ても『ネギ』にしか見えず、更には今まで生活してきた世界とは少し異なる並行世界に放り込まれ、果たして三人は『存在確定情報』を取り戻して生き返ることが出来るのか、というお話。

大まかなあらすじだけ読むと壮大な物語に見えるが、出てくるキャラクターの性格とそれぞれの掛け合い、並行世界に来たにも関わらず舞台がひとつの街であること、そして何よりラスボスを倒すアイテムが『ネギ』(にしか見えない)ということで、とにかくコミカルな展開になっている。自分たちの生き死にが関わっているのに終始三人の行動に緊張感がないように見えるのは、統十郎がグズグズ文句を言いながらも最後には何とかしてくれる逞しさがあるせいか。あるいは図々しさかな。優希と和希の双子の姉弟は女性であるはずの優希の存在を押しのけて、男の和希がヒロインの座にいたのはある意味問題な気が。と思っていたら、これも伏線だったようで。
最終的にはネギをアノマリーのお尻に突っ込んで世界を救い「めでたしめでたし」と終わったが、あれ、これ続きがあるの(笑)
最初から最後までコメディをやってくれて、うん、楽しかった。