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飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「魔術士オーフェンはぐれ旅 約束の地で」感想

ライトノベル TOブックス

魔術士オーフェンはぐれ旅 約束の地で

魔術士オーフェンはぐれ旅 約束の地で


あれから20年。舞台をキエサルヒマ大陸から原大陸へと移し『魔術士オーフェン』の新たな物語が幕を開ける。
物語を語る視点をレティシャとフォルテの息子であるマヨールに据えて、妹ベイジットとプルートーと共に訪れた原大陸で魔王オーフェンと彼の三人の娘たちと交流する。原大陸の理はキエサルヒマ大陸とは大きく異なり、新たな設定が登場するたびにマヨール同様状況に流されて、読者は先を読み進める他ない。マヨールが原大陸に対して疑問に思うことは同時に読者も疑問に思うことであるが、今回の『約束の地で』は序章に過ぎず全ての問いに答えは用意されておらず、今後の新シリーズを介してマヨールと共に解決していくのだろう。

オーフェンたち旧世代組に振り回されるマヨールを中心にした新世代の子供たちを見る目が親のそれになってしまうのは、歳を取った証拠。
20年という時を生きた旧世代のキャラクターの登場に心躍った。『約束の地で』での登場はコルゴンやサルアなどお目見え程度で終わってしまう者がほとんどであるが、我等のオーフェンは20年分の『魔王』としての貫禄を持って登場する。流石に40歳にもなり、また人の上に立つ人間ともなって大人しくなった印象であるが、迂闊なマヨールを叱責したり相変わらずの苦労人だったりと「ああ、この人は間違いなくオーフェンだ」と感じられる描写がいくつもあって安堵。口絵のオーフェンと奥さん(固有名詞はなかったので敢えてこの表現)は『我が心求めよ悪魔』の表紙を思い出して胸にぐっときた。

今回20年後のオーフェンの挿絵も衝撃的であったが、『秋田禎信BOX』では一切視覚化されなかった新キャラクターに草河遊也さんが息を吹き込んだ下さったことに感動した。マヨールの気難しい感じが良く伝わり、三姉妹の奥さんの遺伝子を感じさせない容姿は腹を抱えて笑ってしまった。以前短編で描写されている長女ラッツベインはなんというか『師匠が師匠なら弟子も弟子』といった性格で、次女のエッジはオーフェンに性格も容姿も一番似ている上に重度のファザコン、末の妹ラチェットは無口だがたまに口を開けば姉への暴言という始末。それでも戦闘力の高さは両親譲り。特にエッジは今後の新シリーズでも魔王の弟子として、魔術戦士として活躍してくれそう。あとどうでもいいことではあるけど、エッジは小柄という描写があったはずだけど表紙だとそれなりに背丈があるように見えてしまうのは。

旧世代と新世代が入り乱れる原大陸での新たな物語は来月からついにスタート。待ちきれない…。