飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「パンツブレイカー」感想

パンツブレイカー (一迅社文庫)

パンツブレイカー (一迅社文庫)


長文タイトルが跋扈する中、非常に分かりやすいタイトルをつけてきたのは好印象なんだけど、あまりにも分かり易すぎて不安になりもしたが…いや、面白かった。
『半径2メートル以内に近づく者のパンツを強制的に消す』という、タイトル通りの異能を持つ主人公正幸。もうあらすじでこの能力を読んだ時点で「バカな設定だな」と思い、どんな設定先行のギャグものになるのかと読み始めたがこれが完全な間違い。あ、いや『バカな話』なのは違いないが、設定だけではない物語の面白さを味わえた。

『パンツブレイカー』という変態で最低な『ギフト』と呼ばれる異能を持つことになった正幸は、両親に見放され周囲(主に女性たち)に批難されながらも、それに負けまいと悪びれずに生きている。その姿が嫌に格好良いのだ。ギフト所有者が半数を占める特殊な学校に転校することになるのだが、そこで出逢ったヒロインの影那や瞳のギフトが『異能らしい異能』なのに比べて『パンツブレイカー』がいかに異質で強力なものであるかが分かってくるものの、近づく女性のパンツを片っ端から消して行く描写を見ていると、例え世間に冷たい目で見られても欲しくなる。とはいっても『パンツブレイカー』を持つことの弊害が語られるにつれて、そんな気持ちもなくなってくるよな。同時にそんな能力を持ってしまった正幸の心の強さが理解出来てくる。

と、いくら正幸が心の強い人間であっても支えてくれる人間は必要。
その役割を担っているのが真のヒロインである正幸の妹の美幸。のっけからノーパンで登場して「なんだこの娘っ!?」と驚くが、常に一緒にいる正幸の能力を考えるとそれも当然。どうせパンツは消されてしまうのだから最初から穿かなければ良い。た、確かに。このノーパン美少女が兄を想う気持ちは本物で、その想いを吐き出すシーンで不覚にも感動してしまった。それくらい読んでいて気持ちの良い娘なんですよ…(しみじみ)

終わり方からして続きはないのかな。出てくれたら嬉しいけど、流石に『パンツブレイカー』でこれ以上引っ張るのは難しいよね(笑)