飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

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「豚は飛んでもただの豚?」感想

豚は飛んでもただの豚? (MF文庫J)

豚は飛んでもただの豚? (MF文庫J)


白身魚さんのイラストのイメージ通り、しっかり青春やってくれてます。
元不良で口数が少ないため周囲の人間に誤解されやすい少年真宮逢人と、性格も容姿もまるで違う三つ子の少女たちとの初恋物語。

衝撃的な出逢いから逢人の脳裏から離れなくなった空手少女である藤城綾と入学した高校で再会したことから、綾を長女とする三つ子に関わっていく。今まで友達はおろか恋すらもしたことがない逢人が、三つ子と彼女たちの幼なじみである『豚似の正義漢』神指風太郎に不器用ながらも接していく姿が初々しく甘酸っぱい。気弱な次女雲雀を大人しいが、綾と…特に三女の瑞姫とは気が合うためか会話が弾む。物語を通して三つ子と逢人との会話が大半を占めて地の文が少ないが、掛け合いがとても自然なため違和感はない。

あまりの不器用さ故に綾に対する恋心すら瑞姫に指摘されるまで分からなかった逢人が、実の妹である瑞姫の助言を仰ぎながら綾への恋を実らせようと動き出すものの、それが裏目に出て二人が付き合っていると思われてしまう展開はお約束。とはいえ綾の言うとおり、逢人と瑞姫はお似合いなんだよなあ。困ったことに意中の綾以外のフラグは立派に立てていく逢人であるが、読み進めていくと彼の『人の良さ』が伝わり惹かれる理由が分かる。瑞姫との関係の誤解を解くため、彼女と接する時間を可能な限り減らし疎遠になっていくものの、逢人はそれを良しとする性格なら三つ子とここまで仲良くなる訳がない。ボクシングを習うも、見た目とは裏腹に空手の達人である風太郎に押されて悔しがり、対等な存在を得ることで育った熱い心は瑞姫に想いを「伝えられる」までに成長した。『恋』は成立せず終わってしまったが、逢人の初恋は最後まで読みたい。