飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「オーバーイメージ」感想

オーバーイメージ (MF文庫J)

オーバーイメージ (MF文庫J)


1994年生まれの新人作家さん。若い。若いなあ。
そのあまりの若さに読み始める前は不安があったけど、いらない心配だった。面白かった!

現実の世界の裏側『反転世界』で自分の想像力を力に変えて戦うゲームに参加する『イマジネーター』と呼ばれる存在。
己の願いを叶えるため戦いというゲームを繰り広げるイマジネーターの争いに巻き込まれたことから、主人公真白彩もまたイマジネーターであることが判明し、気の強い金髪巨乳ミラピリカと黒髪ロリ娘(先輩)魅影とともにゲームに参戦することになる。性格が正反対のミラピリカと魅影の啀み合いに巻き込まれながら、自分の願いを叶えるために他者を蹴落とすゲームのシステムに疑問を抱き、また自分自身の願いとは一体何かに悩む彩の姿が描かれていく。

典型的な学園異能モノ。それ故に読者を惹きつける『何か』がないと他の作品と同じに見られて埋没してしまうジャンル。またどうしても『異能』の設定を説明する必要があるため、読者に興味を持って呑み込んでもらうのは難しい。この『オーバーイメージ』はその点に関しては、魅力的なキャラクターと設定を戦闘という形で見せてさらりと説明できる文章でクリアしている。新人賞ということで一冊で物語をまとめなくてはいけない都合上話が急ぎ足になり、読みやすい展開になってしまっているのはご愛敬かな。主人公の能力についてはツッコミは無しで!(笑)

ミラピリカ、魅影というヒロインに挟まれてしっかりラブコメやってくれているところがいかにもMF文庫Jらしい。特に魅影の可愛さは異常で、猫耳フード付きのパジャマを着た姿のさんた茉莉さんイラストは読者を悶え殺しにきてる。シリーズ化が想定されている終わり方なので、意外とMF文庫Jでは少ない『学園異能モノ』で一花咲かせて欲しいなあ。