飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

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「VS!! 正義の味方を倒すには」感想

VS!!―正義の味方を倒すには (電撃文庫)

VS!!―正義の味方を倒すには (電撃文庫)


雑魚戦闘員にも意地がある!
「ざまあみやがれっ!」と思える展開は心をスカッと、気分爽快にさせてくれる。

『五人のヒーローと悪を成す怪人』が戦う世界、いわゆる戦隊モノなのだが…主人公は怪人側の、しかも戦闘員。更にはこの戦闘員21号こと『ニーイチ』は「ヒーローには勝てない」と仲間の戦闘員がヒーローに勝とうと息巻く中、生き残ることを優先する行動を取る男。そんな戦闘員らしからぬニーイチの相棒であり、人間社会に溶け込み共に暮らす戦闘員22号『ジジ』という無口無表情であるが、ニーイチ想いの少女のコンビを中心に物語の最後でとんでもない『意地』を見せてくれる。

何体もの怪人がヒーローに敗北する様を目の辺りにし、またヒーローに歯が立たず消えていく人造人間(ホムンクルス)の戦闘員。その現実に辟易としていたニーイチが、『最強の怪人』として生み出された『ジャバウォック』に影響されて、心に火が付くまでの過程が本当に良い。ジャバウォックという凶悪な名前からイメージ出来ないほどの美少女の容姿を持つ彼女とニーイチ、それとジジの想いが変わっていく。ニーイチ同様の考えを持つジャバウォックが怪人達の組織から逃げ出し、ちょっとしたことからニーイチとジジの住まいに同居することになり、怪人なのに(という表現は差別?)料理が得意であることからそれまで生活に関して無頓着だった二人に潤いを与えるまでの流れはもはや『戦隊モノ』には思えない。心を通わせ始めるニーイチとジャバウォックであったものの、結局ジャバウォックはヒーローに破れ消滅してしまう。「ヒーローとは戦いたくない」ジャバウォックがヒーローと対峙する決意をしたのは、ニーイチという戦闘員の気質を完全に理解していたから。心の中に眠っていた「ヒーローを倒したい!」という想いを復活させたニーイチは、「戦闘員は役に立たないから廃棄する」組織の方針を否定するためにも、持ち前の狡賢さで立てた『戦闘員だけ』で行う作戦を実行に移す。ニーイチ、ジジ、そして他の戦闘員が一丸となってこれまで自分たちをコテンパンにしてきたヒーローに一矢報いる戦いはわくわくした。戦闘員ここにあり!

またこの作品の面白いところはヒーロー側の人物描写もしっかりしていて視点としては『敵』であるが『憎い敵』とは描かれていないこと。ヒーローもヒーローたちで熱い心を持つ戦士。本来ならば雑魚にすぎない戦闘員たちにしてやられたヒーローたちが彼等を認めた場面は自分のことではないのに妙に誇らしく思えてしまうんだよね。