飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「回る回る運命の輪回る」感想

回る回る運命の輪回る―僕と新米運命工作員 (電撃文庫 な 15-1)

回る回る運命の輪回る―僕と新米運命工作員 (電撃文庫 な 15-1)


2巻発売を機会に積んでいた1巻から読みました。
まだ新人とあって文章はそれほど上手くはないけれど「この先どういう展開が待っているのだろうか?」という作品の引力と、ちょっと変わった少女ノアを中心に読んでいると心が温かくなるキャラクターたちが魅力だった。

お菓子作りが得意なことと、時々予言めいた白昼夢を見る以外は至って普通の高校生である主人公の野島浩平にある日『襲い掛かって』きたのは、とある組織の工作員である美少女ノア。襲撃してきたものの、それが失敗すると今度は浩平に弟子入りすると言い出す無茶苦茶っぷり。その目的は浩平の監視。ノアが所属する「世界の運命を正しく導くための組織」である『ソサエティ』によって、浩平は運命をねじ曲げる存在『イレギュラ』と認定され、名目はどうあれ身近で監視をしたいのだという。日常から非日常へ。浩平とノアの同居生活の始まりが、二人と彼等の周りの人々の運命を少しずつ動かしていく。

工作員という肩書きながらちょっと抜けたところがあり、しかも片言の日本語を話すノアは見た名以上に幼い印象を与え、そんな彼女に対して兄のように接する浩平という二人のやり取りが微笑ましい。誰かと一緒に過ごすことに慣れていないノアが、浩平に、そして周囲の人々に受け入れられて初めて人の『温もり』を感じるなど、『運命』というテーマにも限らずアットホームな物語展開であるのも良い。またノアに影響されて、過去に向き合おうとしなかった浩平が、幼なじみであるが疎遠になってしまった岩田との親交を取り戻すまでの流れを見ていると、『運命』を変えるのは存在は何もイレギュラだけではないよね。最後の「運命は変わる。だから面白い」という結論は心に染みる。

しかし基本的におどおどして情けない浩平が予知能力発動時には異様な格好良さを魅せるのは、何だか納得できない気が(笑)

回る回る運命の輪回る 2―ビター・スイート・ビター (電撃文庫 な)

回る回る運命の輪回る 2―ビター・スイート・ビター (電撃文庫 な)