飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「僕の妹は漢字が読める 3」感想

僕の妹は漢字が読める3 (HJ文庫)

僕の妹は漢字が読める3 (HJ文庫)


もうイロモノなんて言わせない。
楽しいラブコメ分だけでなく物語の流れもしっかりしている。安定した筆力を感じる…!

実妹VS義妹。歴史改変によって誕生したギンの実妹が登場し、義妹であるクロハと兄を巡って対立するお話。
オオダイラ文体は鳴りを潜めたことによって物語展開がネタに転がらずに、ギンの妹たちへの想いをこの一冊に込めることができた。実妹アマネコの出現により心揺さぶられるクロハが、最後にはギンの義妹への想いを知って奮い立ち、次に繋ぐ話の運びはお見事。ラブコメとしても実兄の貞操を狙うアマネコや、幼少期のクロハとのお風呂シーンがあり揺るぎない。ギンの出生に関しては「2.5次元っ子」なのはある種ネタとして終わりにしてしまうのではなく、現代人であるユズの疑問提起からその秘密が明かされるのは意外だった。

『僕の妹は漢字が読める』というタイトルは、ギンの「うちの妹は凄いんだ!」と意味が込められて、終盤アマネコの祖父に土下座してクロハの才能を買って貰おうとする兄の姿勢はまさにその想いを現したものなんだ、と勝手に深読みしています。