飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

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「鈍感な僕と鋭い彼女」感想

鈍感な僕と鋭い彼女 (一迅社文庫)

鈍感な僕と鋭い彼女 (一迅社文庫)


キャラクターをメインの三人に絞っているから良く会話が回る。
弾む会話が面白い。うん、良かった!

「五分先の未来が視える」不思議な能力を持つ高校生・八塚武弘。その能力のせいで不穏当な発言をしてしまい、周囲に変人だと思われて友人がひとりもいない残念な人生を送っていた。能力のことを呪いながらも、諦めに似た胸中で日々を過ごしていた八塚は、ある日交通事故に遭う少女の未来を視てしまい、彼女が事故現場に行かないようにと咄嗟に慣れないナンパをして引き留める。事故は起こらず事なきを得たものの、八塚が救った彼女…櫛守棗は恐ろしいまでの『洞察力』を持つ美少女で、八塚が未来を視る能力を持っていることを見抜く。更にはその八塚を悩ませる能力を制御するため、八塚の妹である小詠も巻き込み、棗はその鋭い洞察力でメカニズムを解明しようと行動する。

本人はまるで分かっていない未来を視る能力を、あっという間に解体していく棗の洞察力を元にした怒濤の会話が面白い。それだけではなく、八塚と小詠の兄妹関係も即座に見抜いて手玉に取り、小詠が抵抗しようとするも隠しきれない兄愛を披露してしまうことに。八塚の能力と小詠の兄愛を中心としたコメディタッチの前半から、棗の過去に関わるシリアスな展開にシフト。能力に依存することでそれが強いアイデンティティになってしまい、能力を無くした時の喪失感で心を欠落してしまう可能性、というのは他の異能モノではあまり示唆されないよなあ。何処までも鈍感な八塚と、異常なほど鋭い棗はお似合いのカップルに見えるが、くっつくのはいつのことになることやら。