「アンダーランド・ドッグス」感想

アンダーランド・ドッグス (電撃文庫)

前作『バベル』と同じ世界観で繰り広げる群像劇。
一部共通のキャラクターが登場するが物語の展開上あまり関係ないので気にせず読めるかと。

街に強い影響力を持つ宗教法人『犬の家』の教祖争いで揉めるスピアシティ。また犯罪者も多いこの街で賞金首ハンターを営む二人の少女、ファイとカイはどうにも運の巡りが悪く失敗を重ねるコンビ。そんなツイてない少女ハンターたちに、巨額の賞金がかかった犯罪者たちの情報が。トラブルに見舞われた囚人護送車から脱走した七人の賞金首がスピアシティに放たれた。賞金首たちを追うファイとカイ…ではあったが、囚人たちを逃がしてしまった保安官リズや、七人の中に重要な人物がいたことから『犬の家』まで介入してくる。賞金首ハンター、保安官、宗教団体はそれぞれの目的を果たすことが出来るのか？

サクサク読み進められるので退屈しない。
次から次へと展開が転がっていき、群像劇の楽しさを伝えてくれるものの、キャラクターの背景をもっと押し出して欲しかったかな。特にファイとカイは個性豊かで魅力もあるため、勿体ないものがある。それと犯罪者七人の掘り下げも。そうすれば物語展開がもっと納得のいくものになっていたような気がする。
個人的な願望を言うと隠し子の正体はカイが良かった。あ、いえ、これはもうその方が好きな展開だったというだけのことですけどね！