飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「黒鋼の魔紋修復士 1」感想

黒鋼の魔紋修復士1 (ファミ通文庫)

黒鋼の魔紋修復士1 (ファミ通文庫)


面白い…これは面白い!
前作の『彼女は戦争妖精』時にも感じたけど、嬉野さんの作風は肌に合うなあ。

アーマッド王国を盟主とする『神聖同盟』に12人しかいない『神巫』に選ばれたお嬢様・ヴァレリア。世界に満ちるエネルギーを身体に刻み込んだ魔法陣…『魔紋』を通して行使する魔法士…およそ10人にひとりしか魔法士の才能に恵まれない世界で、たった12人しか選ばれない『神巫』は憧れの存在である。父親の反対を押し切り、没落した家を再興するため意気込んで『神巫』になるのだが、彼女専属の紋章官に任命されたのは優秀であるが『男』のディミタールであった。『神巫』である間は純潔でいることが義務付けられているため、『神巫』に魔紋を施す紋章官は女性であると思い込んでいたヴァレリアはこれに反発。加えてディミタールは口と主に女性に対する素行が悪いこともあり、気の強いヴァレリアとは対立してばかり。そんな二人の関係を置き去りに、ヴァレリアとディミタールは国境近い街で発生した反乱の調査を命令される。反発し合う『神巫』と『紋章官』は無事初仕事をこなすことができるのか?

まずは世界観とキャラクターのお披露目といった感じのお話でした。
じゃじゃ馬お嬢様のヴァレリアと口は悪いが根は良い奴ディミタールのコンビが、ただ反発するのではなく、お互いのことを理解し始めるまでの流れが上手い。我が儘のすぎるヴァレリアの行動に苛立ちはするも、その性格を理解したディミタールの動きは流石。ディミタールの動きが自分を想ってのことだと気づいたヴァレリアは彼への見方を変えていく。ディミタールさんがモテるのも頷ける。しっかりとタイトルにもある『紋章修復』をこなす盛り場も作っている。今回設定された敵はまさに『初仕事』向きであったが、裏でその敵を操る存在が今後の展開を広げてくれそうだ。