飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「タタリ・ブレイカー弑子」感想

タタリ・ブレイカー弑子 (HJ文庫)

タタリ・ブレイカー弑子 (HJ文庫)


今度のヒロインは方便っ娘とな。
榊一郎さんの創る物語の揺るぎない面白さ以上に、弑子の可愛さがもう…!

人形…フィギュア作り以外はこれといった目立つところのない普通の高校生・富士宮瑞人。愛するフィギュア制作のせいで妹に変態扱いされるほどヘタレの瑞人は、原因不明で学校を休み続ける同級生でご近所の想い人・鹿沼美裕希の家の見上げては声も掛けられずその場を去っていた。が、その日はいつもとは違い、瑞人以外にも鹿沼家を眺めている者が。黒い巫女服を纏った美少女・三途川弑子は『呪い』を受けた美裕希を救うために母親に雇われたという。『祟り破り』の弑子は美裕希に呪いを掛けている者が学校にいると睨み、想い人を救いたい瑞人の協力を得て捜査を開始する。

瑞人、弑子、美裕希。どの人物にしてもぬかりなく描写して、しっかり物語を支える存在にしているのが本当に見事。物語の中でキャラクターが抱く感情を読み手が理解できるよう丁寧に描くこの筆力こそ榊一郎さんの真髄だと思う。特にこの作品でもっとも読者が心惹かれるであろう弑子の魅力といったら。呪いの避雷針となるためあらゆる『不吉』を身に纏う弑子だが、実際は可愛らしい物が好きな普通の女の子。更に何処か抜けたところのある弑子のふとした行動を見ては「可愛い…」とぼやいてしまう。弑子かわいいよ弑子!

ひとつの物語を通して成長した瑞人。そんな彼に惹かれる美裕希。全てが解決し、仕事を終えた弑子は去る…訳がなく、お約束の転校生としてやってきた。いいぞ、好きな展開だ!瑞人の才能を手に入れたい三途川家の『婿にしろ』という命令を受けてはいるものの満更でもない弑子が、美裕希との間に割って入れるのか。
「想いは言葉にしなければ通じない」ですって寿子さん。いや、彼女の場合、言葉よりも分かりやすいくらい想いを態度で示してました。次回はもっと登場してね!