「うちの魔女しりませんか？ 3」感想

うちの魔女しりませんか？　３ (ガガガ文庫)

少年と魔女の心温まる、そして少し切ない物語も３巻目。
担当するイラスト作品が増えたCUTEGさんだけど、一番親和性の高い作品がこれだと思っています。

最後の魔女であるミラとの出逢いと別れから成長した文哉が、行方不明になっている父の足跡を辿り、遠い異国の地ヒマラヤで再び魔女に出逢う物語。絶滅した『魔女』が登場する以外は１巻と２巻で登場人物も共有していない独立した話だったため、今回も新たな魔女と少年を据えて展開されるのかと思っていたのでこれは意外だった。人間嫌いで魔女嫌いの現地の少女マーヤ。彼女は人間と魔女の間に産まれたハーフであり、素性を隠してひっそりと暮らしていた。人見知りが激しくぶっきらぼうなマーヤが、文哉の優しさに触れることで二人は繋がりを深めていく。ミラの大好物であったたい焼きを使って、懐かないマーヤを餌付けし見事成功する場面でのCUTEGさんのイラストが最高に可愛い。マーヤ可愛い！根拠もなく魔女を忌避する土地であるため、その影響もあり自分自身の存在を呪うマーヤが、文哉の言葉によって呪いから解放される様は心打たれる。優しい心を持つ者には、優しい結末を。ミラと同じ終わりを迎えるのかと思ったとき、文哉との別れを否定して共に成長することを選んだマーヤは、これからの物語でより一層輝いて欲しい。この展開だと２巻のメンバーも今後再び登場することがあるのかな。なににしろ、４巻の構成がどうなるか楽しみ。