飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「空知らぬ虹の解放区」感想

空知らぬ虹の解放区 (ガガガ文庫)

空知らぬ虹の解放区 (ガガガ文庫)

〈あらすじ〉
愛厳禁の全寮制高校・聖ヶ原学園。高校二年となった軒原拓馬は、学園の秩序を守る風紀委員会のホープだ。厳格に育った拓馬だが、この学園には彼も知らない地下組織が存在していた。――非営利で同人誌を密造し配布する『脳内解放区』(通称「脳解」)。中等部の男子生徒、光武 悠の半裸拘束事件を「脳解」の仕業と断定し、調査を開始した拓馬だったが、その前に「脳解」の代表を名乗る女子生徒「ブルー・シスター」が現れる。彼女は拓馬に「脳解」のメンバー入りを促し――そして拓馬は"二次ロリ"を知る。
学園青春クライムアクション、開幕!

面白かった!この主人公の葛藤…僕は大好物です。
とにかく頭の堅い風紀委員の拓馬。たまたま見つけたBLの『同人誌』をキッカケに「こんなものを愛読している者は学校の風紀を乱す者に違いない」という偏見を抱くようになり、持ち主を捜索し始めるのだが次第に『同人誌』…それも十歳の女の子がヒロインの作品に魅せられて、ロリコン道に堕ちて行く流れが笑える。風紀を守らなくてはならないのに抗えない…背徳感に苛まれながらも最後にはロリコン同人誌を読み切ってしまう拓馬。闇で同人誌を売る山吹の悪魔の後押しもあったしね…仕方ないよね。男の子だもん。でもロリコンはないわー。
同人誌を密造している『脳内解放区』や、その商売敵である組織の登場により厳しい校則の学校とは違い、闇では特殊な性癖が飛び交う場になっているのが怖いのですが。二つの組織の争いに登場人物たち…特に拓馬の弟の辰巳や親友の悠が関わってきたりと無駄なキャラ配置がない。拓馬の幼なじみの衣舞はヒロインのひとりなのに登場場面少ないな、と思っていたがラストに彼女らしい見せ場があって満足。うん、完全に強敵になってました!
終わってみれば辰巳が華麗に蘭のフラグ立てに成功していて、あとがき通り『もうひとりの主人公』っぷりヤバイ。全てを把握している校長の斉木の動きが気になるところ。
しかし田辺。ほんと良いキャラですわ。