飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「飛べない蝶と空の鯱」感想

飛べない蝶と空の鯱 〜たゆたう島の郵便箱〜 (ガガガ文庫)

飛べない蝶と空の鯱 〜たゆたう島の郵便箱〜 (ガガガ文庫)

〈あらすじ〉
霧の上を島が浮遊し、漂う世界。「霧妖」という魔物が棲む霧の海を飛び、命がけで人々の想いを封じ込めた「封書」を運ぶ「武装郵便屋」の少年・ウィルと、不思議な少女・ジェシカの物語。飛ぶのが下手で風を読めないウィルと、あることがきっかけで空が怖くなったジェシカ。お互いの欠点を補い合わないと飛べない二人は、それでも空に憧れ、死と隣り合わせの霧に挑むのだった。「空の底」に何があるのかを知るために――。
二人乗りの「翼舟」で雲の上を疾走する爽快冒険ファンタジー。

濃厚な世界観でありながら非常に読みやすい物語。
空を渡る少年少女。ウィルとジェシカ。それぞれの事情を抱え、空を舞うには不完全な二人が、互いの欠点を補いながら目的に向かってひた走る。死がすぐ隣に在る『武装郵便屋』という仕事に誇りを持ち、信頼し合い、支え合っている二人の姿を追っていると心が熱くなってくるな。ジェシカがウィルに何だかんだと事あるごとに文句を言っているのは、それだけ彼を慕っているということなんだろうね。もっと素直になれば、二人の関係はより進みそうなものだけど。二人の関係については、この先の物語で語られて行きそうだし、物語の核心になりそうだ。