飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「猫にはなれないご職業」感想

猫にはなれないご職業 (ガガガ文庫)

猫にはなれないご職業 (ガガガ文庫)

〈あらすじ〉
吾輩が暮らすのは代々、陰陽師として名を馳せた藤里家。
その末裔は女子高生の桜子なのだが…吾輩たちが隠していることもあって本人は陰陽師について、何も知らないのだ。当然、吾輩が人語を話せることもな。
ある日、桜子の祖母・春子が寿命で亡くなったことをきっかけに、彼女が封印した妖異が解き放たれてしまった。このままでは桜子が危険にさらされてしまう!
春子もおらん今、もう吾輩が守るしかなかろう。絶対に守り抜いてみせようぞ!!

第6回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞作品。
なんですか、昭和の匂いがするライトノベルは(笑)
読み終わってまず思ったのは「確かにこれはガガガ文庫に送るべき作品」ということ。だって主人公が猫…妖怪の猫又な上に中身はおっさん。更には『陰陽師』だというのだからもう驚き。人外が主人公のライトノベルはあるが、大抵の作品は擬人化してるからなあ。まさか猫を主人公に最後まで物語を走り切らせるとは思わなかった。
猫又のタマ。彼(雄)が亡くなった主人の孫であり強力な陰陽師の血筋を持つ少女・桜子を守るために、彼女の幼馴染にして親友である命と共に妖怪に立ち向かう展開。陰陽師の猫又と、腐女子の命とのコンビは傍目にはアンバランスを通り越して「大丈夫かこいつら…」と不安を抱きそうなものだが、大切な桜子を守ろうと奮闘し見事連携する姿が熱い。最初、命はタマのことを「化け猫」呼ばわりし、タマの方はずぼらな命をからかったりとしていたのが嘘のような信頼関係だ。また個性的な二人(一人と一匹?)以上に、登場してはハイパー天然パワーで掻き回す桜子もある意味油断ならないヒロイン。
その桜子をヒロインとすると対する男主人公がいないのは珍しい…と思ったが行動が男っぽい命がいるので十分間に合ってます。男気に関してはタマもいます。
陰陽師バトルは意外…といったら失礼かもしれないが、まあ猫が陰陽師な時点でそれほど期待していなかったのが正直なところだけど、しっかりと描かれていて良かった。次回(あればですけども)からはタマ、命に加えて桜子も陰陽師バトルに加わるので桜子天然パワーを前面に押し出してください。
そして最後のタマと春子の演出は憎いねえ。