飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「黒鋼の魔紋修復士 2」感想

黒鋼の魔紋修復士2 (ファミ通文庫)

黒鋼の魔紋修復士2 (ファミ通文庫)

〈あらすじ〉
最低最悪の相性ながら、何とか初任務を成功させたヴァレリアとディー。その一件から"魔紋"を消す力の存在を知ったイサークは、ディーの愛剣ジャギエルカの開発者であるキケから、かつてともに"魔法工学"を研究していた人物の情報を入手する。そしてその者が滞在していたというビラノバへ、ヴァレリアたちに加え、もう一人の"神巫"カリンを派遣することに決めるのだが――!
正反対の二人の"神巫"が、"神聖同盟"を取り巻く暗雲に迫る第2巻!

この手堅い面白さ。堪らないなあ。
今回はヴァレリアとディミタールの相性最悪コンビに加えて、1巻でお目見えしていた『神巫』カリンとともに任務に就くことに。クールな見ため通りの言動のカリンではあるけれど、ひとつ意外であったのがディミタールに対する興味。ヴァレリアと同じくお家復興を目指すカリンとしては、ディミタールの血筋はその近道となる考えは確かにクールな考えではあるのか…とはいえその考えは真っ向からヴァレリアの想いとは対立するものではある。何から何まで対極的な二人の神巫ではあるけれど、互いに対する想いを読む限り、友人として上手くやっていけている関係を築いているのは良い。
任務に関しては一巻と似たような「お使い」だが、それが大事に発展するのがこの物語の基本的な流れなのか。任務を与えているイサークはこの流れになることを予想…というよりも確信しているように思える動きを取るので本心が読めない不気味なキャラになってる。
有能なディミタールとカリンとは違い、喚いてばかりで役に立たないヴァレリアが二人の仲に嫉妬するもそれを必死で否定しているが、どう考えても落ちてるよなあ。恋愛面はともかく、こと戦闘以外まともな役が回ってきてないのでヴァレリアもっと頑張れ。とはいえ彼女が「何も分からない」キャラであるからこそ、物語がかき乱され面白い方向に転がって行くのだけど。
巻を重ねるごとにヴァレリアのお嬢様気質と天然が抜けて成長している(?)ように思えるので、ディミタールともども出世してどんどん話をかき回して貰いたい。