飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「エスケヱプ・スピヰド 2」感想

エスケヱプ・スピヰド 2 (電撃文庫 く 9-2)

エスケヱプ・スピヰド 2 (電撃文庫 く 9-2)

〈あらすじ〉
自国の今を知るため、帝都・東京にやってきた九曜と叶葉。復興の進む街で、九曜は機械兵を連れた不遜な少女に襲われる。『第三皇女・鴇子』だと名乗る少女は、九曜に自らを守るように命令する。
誰から何故追われているのか記憶がないと言う鴇子。九曜は訝しむが、叶葉は彼女を放っておけないと言う。叶葉の懇願により、九曜は鴇子の情報を求めて軍の地下施設を訪れる。そこで彼を待ち受けていたのは、全滅したはずの《鬼虫》シリーズのひとりだった──!?
第18回電撃小説大賞〈大賞〉受賞作、第2弾登場!

新人賞受賞作の続編…シリーズとして展開するには良い広がりをみせてくれた。
『鬼虫』最強の『蜻蛉』との死闘での『蜂』を失った九曜と、彼の司令である叶葉が出会った『第三皇女』の鴇子。デビュー作が閉じた街での物語であったのに対して、今回からは開いた世界での物語展開になる。やたらと不遜な態度で無駄口の多い鴇子と、一切何も語らない彼女の護衛である機械兵の菊丸のコンビは強い絆で結ばれていて、二人(一人と一体?)の信頼関係は胸を温かくしてくれる。それだけに最後の展開は菊丸が鴇子を想うが故の行動だったのだと強く感じるのだろう。鴇子と九曜の相性は非常に悪いように思えるが、正反対の性格をしている叶葉とは合うようで少女たちが『友達』になるまでの流れをしっかり描いている。普段の行動とは違い心の弱い鴇子を、叶葉が叱咤して奮い立たせる姿はまさに友情。九曜と菊丸の間にも信頼関係が芽生えたのを見ると、この四人は良いパーティーに思える。
しかし一番心躍る展開だったのは、九曜以外絶滅したはずの『鬼虫』…『蜘蛛』の巴と『蟷螂』の剣菱が生存していたこと。あの九曜を手玉に取る性格と戦闘力…特に巴の底知れなさは恐怖だな。『鬼虫』を失った九曜とは違って圧倒的な力を持つ『蜘蛛』と『蟷螂』の前に敵なしに思えるけど。この二人を上回る敵が登場するのかな。鴇子を付け狙う組織(?)が『量産型鬼虫』以上のどんな超兵器を登場させるのか気になる。