飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「僕の学校の暗殺部」感想

僕の学校の暗殺部 (ファミ通文庫)

僕の学校の暗殺部 (ファミ通文庫)

〈あらすじ〉
身長157センチ。同年代女子の平均より1センチも背が低いことは、深作零士にとって切実な問題だった。
そんな彼にもう一つ切実な問題が起こる。同じ高校に通う美少女、未但馬裕佳梨が、人を殺す場面を目撃してしまったのだ。
人間社会に徒なすとある存在を密かに抹殺する「暗殺部」。彼女はその部員だった。
そして零士は、そんな彼女に恋をしてしまった……。
暗殺部に入部し、銃をもって殺し合う世界に足を踏み入れた零士の、恋と闘争、思春期の物語!

『暗殺部』というタイトルだったのでもっとライトな話かと勝手に思ってたけど、良い感じに重い話で好きだわ。
身長にコンプレックスを持つ主人公・零士が偶然目撃した殺人。美しい暗殺者にして同級生である裕佳梨に一目惚れした零士は、暗殺部に入部することに決める。想像を上回る厳しい入部試験をパスした零士は、人類の中に潜み『いるか人間』なる敵を狩るため、訓練を開始する。
銃器がこれでもか、というほど登場するのは深見作品らしい。銃器に精通し、特殊部隊顔負けの技能を持つ暗殺部の面々は頼もしいと感じるも、容赦なく人を殺戮する『いるか人間』という危険な存在へ挑む際の描写は緊張感を孕んでいてドキドキが止まらない。これだけ慈悲をかけてはいけない、滅ぼさなくてはならない『敵』も、そうはいないと思う。暗殺部のメンバーにしても零士以外は過去に『いるか人間』との因縁を持っている。負の輪の中に身を投じた零士に降りかかるのはやはり負の力。貴重な日常の中で、手に入りそうだった大切なモノを打ち砕かれた時、零士は人生のどん底に突き落とされる。そんな彼に追い打ちをかける事態が発生するが、自らを取り巻く負の力を糧にし、仲間たちに支えられて奮い立つ姿は、しかし何処か寂しげに思える。
大きな喪失を経験した零士が、暗殺部メンバーとして今後どう描かれていくのか。是非続きを書いて欲しい。