飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「ブラック・ブレット4 復讐するは我にあり」感想

ブラック・ブレット4 復讐するは我にあり (電撃文庫)

ブラック・ブレット4 復讐するは我にあり (電撃文庫)

〈あらすじ〉
東京エリアを、怪物ガストレアの侵入から守っている巨大モノリス。
その一部が、ついに崩壊してしまった。予想どおり、無数のガストレアが東京エリアに侵入。
それを、最前線に配備された自衛隊の精鋭部隊が迎え撃つ。激しい交戦の音が鳴り響くが、やがて静寂が訪れる。
そして、自衛隊の後方で待機していた蓮太郎たちの目の前に現れたのは──。
心が痛くなるほどスリリングな、話題の近未来ヒロイック・アクション、早くも第4巻が登場!

これほどまでに絶望的な状況があるだろうか?
ステージⅣ・アルデバランが率いるガストレアの群勢との決着を描く。
自衛隊は一蹴され、民警も統率されたガストレア群に押し込まれる中で奮闘する蓮太郎たち。指揮系統が混乱する状況下で自分たちが出来る最大限のことを果たそうと動くが、それが『命令無視』と取られてその責任を問われた蓮太郎が『生贄』となることに。明らかにされたアルデバランの驚愕の能力だけでも絶望的なのに、ガストレア群の隠し球…超長距離からの狙撃者ステージⅣ・プレヤデスの存在が更なる絶望を与える。
プレヤデス討伐。仲間達の命を人質に取られ、『英雄』としてガストレアと刺し違えることを選択させられた蓮太郎の孤独な戦いは、意外な登場人物…狂人たちによって救われる。圧倒的な力持つ蛭子親子は頼もしさよりも、ひとつ言動を間違え彼等に「つまらない」と感じさせてしまえば、それだけで蓮太郎の命が散ってしまいそうな危うさを感じる。
大切な人たちのために戦い、プレヤデスの排除を完遂するも、それだけではアルデバランの力のひとつを封じたに過ぎない。再び民警とガストレア群の戦火が切って落とされ、蓮太郎がプレヤデスを倒したことで航空攻撃を行えるようになったが、結局はアルデバランを退けるだけで終わり、民警は心身共に疲弊しただけでなく指揮官を欠き、蓮太郎たちも仲間を失う。砕けそうになる連帯感。新たに指揮官となった蓮太郎もまた延珠との絆が切れそうになるものの、蓮太郎は彼女の砕けそうな心から逃げずに立ち向かって問い続けることでより強固な絆を得る。
人間のエゴに翻弄されながらも、最後に自分たちに味方をしてくれるのもまた人間。
アルデバランとの最後の戦いに挑む。決死の覚悟でアンデバランと相対する蓮太郎はしかし運に見限られて絶望の淵に叩き落とされる。そんな蓮太郎の身代わりとなったのは自らを外道と称する兄弟子・彰磨。大切なイニシエーターを失った彰磨は、この運命を予感していたのか。
彰磨の犠牲によってアルデバランに勝利した東京エリア。けれども何とか生き残った蓮太郎たちが辿り着いたのは、あまりにもくだらない真実。天童和光の不正によるモノリス建造を知った木更は、兄を討つために…そして両親の復讐のために決闘を申し込む。その決闘で、蛭子小比奈すら戦く「木更の狂気」を目にすることになる。決闘の末、蓮太郎たちが目撃したもの。木更の魂は、着実に破滅の道へと進んでいく。同時に延珠の命が消えるカウントダウンも刻まれていく。敵はガストレアだけではない。死んだはずの彰磨に待ち受ける運命もまた過酷なものになりそうだ。
闇に覆われようとした世界にようやく光が差したと思ったら、更に色濃い闇が塗り潰す。救いも何もありはしないこの物語に、心惹かれる読者はこのラストを見て続きを渇望してならなくなる。