飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「楽園島からの脱出II」感想

楽園島からの脱出II (電撃文庫)

楽園島からの脱出II (電撃文庫)

〈あらすじ〉
女子だけが持つ機器「ブリッツ」の効力をいち早く理解し、ゲームの主導権を握った沖田。だが、彼のペアを軽視する行動は他の女子との軋轢を招いてしまう。
利用する者とされる者、男子と女子の力関係が表面化した中で続行される脱出ゲーム。
その流れに反発する女子グループの台頭などゲームはさらなる混迷を見せる一方で、いまだ見えぬ“脱出”の条件……。
果たして勝利を掴むのは? 脱出ゲームはクライマックスへ!

やはりろくなことになりませんでしたね。知ってましたけど!
ゲームを支配したと思われた沖田ではあったが、ゲームの謎を解くことに一生懸命になり人の気持ちを蔑ろにしたことで次第に行く道を塞がれていく。脱出ゲームに関して人それぞれ全く違う視点を持っているせいで、想いが噛み合ってない様が正確に描写されている分、読んでいて先が不安になる。底まで堕ちた沖田が気持ちを改めて這い上がってくるのに手を貸したのが、彼が否定する考えを持つ花穂というのがまた。混沌とする状況の中で、冷静な想いで沖田を信じ続けた少女たちの強さが際立つ。いや、普通心が折れるって。
緊迫する人間関係。それを打ち砕いたのがほわほわと病気から復帰した委員長で、読んでるコッチも弛緩したよ!もうどうにでもな〜れ!
あくまでもゲームという形で穏便に終わった今回のシリーズ。次はもっと血生臭い話が読みたいな、と。