飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「ボクの可愛い国家令嬢」感想

ボクの可愛い国家令嬢 (富士見ファンタジア文庫)

ボクの可愛い国家令嬢 (富士見ファンタジア文庫)

〈あらすじ〉
国家令嬢――それは人知れず日本を侵略する外敵を迎え撃つ英雄的存在。
そして国内に四人しかいないと言われる国家令嬢の一人・瑞鳳院凛々花は、お付きの専属メイド・はがねの言うことしか聞かない超ワガママで人見知りなお嬢様。
ある日意識不明におちいってしまったはがねの代役に選ばれたのは、彼女と瓜二つの容姿を持つ男子高校生の黒鉄鋼だった。
「たとえ変態になってしまっても、君がこうしなければこの国が滅びかねない。そう、君はいわば救国の変態だ」
仕方なくメイド服に身を包み、お嬢様のワガママをかなえるために奔走する鋼だったが――。
平和の裏側ラブコメディー!!

これは女装が世界を救うお話である……いや、どんな話だよ、と。
飄々としているように見えて、実は好きな女の子に素直に応じられないほどヘタレな主人公・鋼のヘタレ芸を見よ。
『国家令嬢』でありながら引きこもりになってしまった凛々花を外に引っ張り出すために、彼女が慕っていたメイドである『はがね』に扮することになった鋼。『鋼』と『はがね』が性別の違いだけで顔もスタイルもそっくりなことから、日本の危機を目の辺りにして追い詰められ、否応なく女装させられる様は哀れ。しかし鋼が見事なポニテ美少女メイド『はがね』になった姿を見せられては「いいぞ、もっとやれ!」と言うしかないじゃないか!
『はがね』以外の人間とはまともなコミュニケーションを取れない凛々花は、引きこもりが解消しても駄目駄目な女の子。そのため、他のヒロインである男装執事の衣緒と鋼の意中の相手である素子の可愛さと芯の強さが際立つ。おいおいメインヒロインがこれでいいのか。今のところ鋼にとって凛々花は「守りたい女の子」であって「好きな女の子」に成り得ていない感じ。異性としては素子と衣緒に差をつけられているが、まあ凛々花にしてみれば慕っているのはあくまでも「女性のはがね」である訳だからな。最後の台詞を読む限り、凛々花さんは百合百合しい人っぽいので、この先「男の鋼」に惹かれることはあるのか?
設定に関する説明が後手後手に回っているせいか唐突な印象を受けるものの、展開のテンポを考えると仕方ないことなのかなあ。とはいえもう少し伏線らしいものは欲しかった。