飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「黒鋼の魔紋修復士3」感想

黒鋼の魔紋修復士3 (ファミ通文庫)

黒鋼の魔紋修復士3 (ファミ通文庫)

〈あらすじ〉
セリバ・ビラノバの件のねぎらいのため、国王ジェフレン11世より王宮に招かれたヴァレリアとカリン。
その最中、同盟国ハイデロータから、新たに神巫として着任した彼女たちを正式に披露するよう催促の書状が届けられる。
アーマッドを目の敵に軍拡を推し進める相手の目論見を察しながらも、あえてふたりを差し向けることにする国王とオルヴィエト。
イサーク率いる"封印騎士団"も共にした、この外遊の背後に潜む陰謀とは!?
混迷へ向かうシリーズ第3巻!

同盟の盟主であるアーマッドを蹴落とそうとする軍事国家ハイデロータ。
新人神巫ヴァレリアとカリンの実力を見定めたいハイデロータの思惑に乗り、ディミタールたちと共に赴くことになる今回のお話。
国民中心の政治をとるアーマッドとは違い、軍事中心の国であるハイデロータは不安定な土地。国を二つに割るほど国内が荒れている。ヴァレリアはハイデロータに入る前に国内情勢をある程度学んだはずなのにいつも通りの脳天気を発揮してディミタールに嫌みを言われる。3巻にもなると本人たちは嫌な顔をするだろうが、ヴァレリアとディミタールの掛け合いも板についてきた。ディミタールがヴァレリアに小言を言うのは、彼女の立場を思ってのことなのが分かっているから。確かに言い方に問題あるけれども、ディミタールがそういう態度でしか人に接することができないのはもう笑って諦めるしかない。
アーマッドを仮想敵国に据える軍事国家で出逢ったのは、軍人として第一線で活躍するハイデロータ『疾風騎士団』の副団長にして神巫クロチルド。初めて合う他国の神巫。しかし新人神巫を試す発言をするクロチルドに、腹芸などできないヴァレリアは良いように掌の上で転がされてしまうが、ディミタールが主の危機を救う。確かにディミタールの言うとおり、裏の表情を持っていそうなイメージのあるカリンよりも裏表のない良い意味でも悪い意味でも真っ直ぐなヴァレリアは国民に親しまれる性格をしている。適材適所、策略を巡らせるのはカリンとディミタールに任せれば良い…とは言っても、今のヴァレリアは流石に物事を深く考えなさすぎるとは思う。
頼りにならない王族の疾風騎士団長シジュベールと、ポッチャリ大食い神巫マレーナ。軍人として有能とは到底言えない人間に囲まれているクロチルドは意外と苦労人。役に立たない二人のせいもあって、クロチルドの真面目さが際立ち、ヴァレリアたちの手強い敵になる、と思っていたが敵の本命は反ハイデロータ。イサークが歯牙にもかけないのが良く分かるほどあっさり誘拐されたシジュベールを助けるため、クロチルドと行動を共にするヴァレリアとディミタール。その最中、二人は反ハイデロータの年端もいかない魔法士少女に苦戦を強いられる。人殺しを躊躇わない少女との戦い。ディミタールは『曰く付き』の自分の魔紋をついに見せる。
何とか少女を退けたものの、反乱側の攻撃が終わった訳ではない。ハイデロータの内戦にヴァレリアたちはどこまで首を突っ込んでいくのか。『ハイデロータ編』は次巻に続く。