飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「やがて魔剱のアリスベル」感想

やがて魔剱のアリスベル (電撃文庫)

やがて魔剱のアリスベル (電撃文庫)

〈あらすじ〉
──現代日本。社会の闇には『異能』と呼ばれる者たちが潜み、互いに超常の戦いを繰り広げていた。
超能力者、魔法少女、先端科学を操る天才児――異能の少年少女を集め、秘密裡に隔離教育する高校、『居鳳高』。
そこに自分の能力すら知らずに入学させられた静刃は、魔女クラスの優等生・黒髪ツインテールの美少女アリスベルと出会う。
ケンカしながらも共闘し始めた2人は“恋心を喰い、異能の武器を産む”美人妖怪・貘との奇妙な三角関係に……。

MF文庫Jで活躍する赤松中学さんがラノベ業界最大手の電撃文庫に参戦。
『異能』×『バトル』×『ラブコメ』の三本柱が無駄なく活かされている物語の始まり。

何事にも本気を出さずに生きてきた主人公の静刃は、心を熱く滾らせ本気になって向き合うことのできる少女アリスベルと出逢う。
二人の持つ異能の種類こそ違うが、同じ超常の力を振るう静刃とアリスベルは共闘して「あらゆる願いを8つ叶える」ことのできる『鳳』を復活させるため、その欠片を集め出す。勿論、そんな素晴らしいモノを集めているのは二人だけではなく、他の異能者も欠片を狙って戦いを繰り広げている。しかも敵たちは驚くほど身近にいて、静刃が入学したばかりの『居鳳高』は異能を持つ者たちを集めた高校…その同級生たちだ。

魔法少女のビビに、メカ少女キリコといった常人では到底太刀打ちできない力を振りかざす美少女たち。とんでもない異能の数々に対抗するため、静刃はアリスベルに取り憑く妖怪『獏』が生み出す武具を使って戦いに身を投じる。しかしこの獏は敵である異能者以上の曲者。アリスベルと彼女を取り巻く少女たちの『恋心』を好物にしており、『恋心』を摂取することで武具を生み、武具に力を込めることができる。獏は力の源泉を隠し、アリスベルが静刃に適度な『恋心』を抱き続けるよう言葉巧みに誘導してはしっかり『恋心』を喰らってしまうので、一向にその『恋心』が静刃に届かない。ただでさえ鈍感な静刃にアリスベルの想いは空回りするのだから酷い話である。

本気を出したくないと言いながら、異能者たちとぶつかると真剣に対峙することになる静刃。命のやり取りの中で、ビビにしろキリコにしろ孤独を抱える異能の少女たちはアリスベル同様、静刃の熱い想いに心を救われる。そんな少女たちの『恋心』も食い物にする術として、静刃の住む屋敷に同居させようとするのだから…いや、面白い!獏にはもっと彼女たちの『恋心』を掻き回して欲しい。

超能力者である静刃の義妹である祈も加わり、願いを叶える欠片と静刃を巡る恋のバトルもヒートアップしていく。しめしめと『恋心』だらけの状況に喜ぶ獏に天罰が。憎悪を喰らう妖怪『鵺』の魔の手にかかる獏。異能の武具の力を使うことができなくなってしまう状況下で、静刃とアリスベル、そして二人とともに戦うことを決めた異能の少女たちは強力な力を持っているであろう『鵺』、あるいは新たな異能者と戦うことができるのか?
次なる戦いに期待が高まる。