飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「世界の終わり、素晴らしき日々より」感想

世界の終わり、素晴らしき日々より (電撃文庫)

世界の終わり、素晴らしき日々より (電撃文庫)

〈あらすじ〉
「コウちゃんは、大丈夫だよね?  いなくならない、よね」
敵対する近隣国『高国(こうこく)』との開戦直後、突如として人類のほとんどが消えた“終わってしまった世界”。
その片隅で出会った2人の少女はボロボロのトラックに乗って旅に出た。
人見知りのチィと皮肉屋のコウがある日たどり着いた街。
そこには消失の混乱で散り散りになった『高国』の軍人が潜んでいて……。
2人の少女が行き着く先、それは──。

世界の終わり。
そう呼ぶに相応しい世界で生きる二人の少女の物語。
敵対する二つの国が開戦した直後、何の前触れもなく大半の人類が消えてしまった。そんな世界に残されたチィとコウは性格も見た目も真逆な女の子。二人は街から街へと移りながら、チィの故郷を目指して旅を続けている。

「こんな世界、長生きしたってしょうがない」
冷めた口調でコウが言うとおり、この世界にはもう生きていても素晴らしいことなんて何ひとつ残されていないのではないか。拳銃を握り、人を殺すコウの瞳にはなんの感情も浮かばない。けれどもかコウの心の中には確かに「幸せになりたい」という気持ちがある。

そしてこの物語はコウだけのものではない。もうひとりの少女チィは年上のコウを慕い、屈託のない笑顔を見せる。二人は仲の良い姉妹のように見えるが、ある事件がその関係を引き裂く。

そこで初めて二人は気づくのだ。本当の意味で互いを理解していないことに。そして気づかされるのだ。互いの想いを理解し合った瞬間にこそ二人の幸せがあることに。

チィとコウは一緒に旅を続ける。
どうしようもない世界に生きながらも、誇りを持って「いま幸せだ」と言える自分たちを目指して。