飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「蒼柩のラピスラズリ」感想

蒼柩のラピスラズリ (MF文庫J)

蒼柩のラピスラズリ (MF文庫J)

〈あらすじ〉
俺・辻峰冬夜は突然、従姉妹たちと一緒に住むことになってしまった。
美少女姉妹との同居というと聞こえはいいが、実際はクソ親父が作った借金のカタの犬みたいなもんである。そして、彼女たちにはとある秘密があった。
なんでも、俺たちのご先祖様には魔女がいて、その血を分け与えられた九十九のアンティーク――《魔女の遺産(ウィッチクラフト)》を蒐集しているらしい。
だが、俺はふとしたことから、彼女たちが所有していたウィッチクラフト《蒼柩》を目覚めさせてしまう。
なぜか金髪の少女の姿をしたそいつは、「あんたは今日からわたしの所有者。そして――わたしの下僕よ」と言い出し……!?
学園執事ラブコメ『まよチキ!』でおなじみのコンビが贈る学園バトルアクション!

あさのはじめ×菊池政治の『まよチキ!』コンビが織り成す新シリーズ。
軽快な文体で読者を引っ張り、魅力的なヒロインたちが活躍し、この物語の醍醐味であるバトルファンタジーの設定に難しいところはない。
「始まり」の物語として分かりやすくまとめている、これからが楽しみになる物語だった。

「九十九のウィッチクラフトを蒐集すれば、一つだけ、願いを叶えられる」
不思議な力を持つ九十九のウッチクラフトを巡る戦い。その争いの渦の中心にいたのが、主人公・冬夜の従姉妹である梨央と真由香…この物語を語るのに欠かすことのできないヒロインたち。
冬夜を甘く誘惑しては戯けて遊んでいる梨央。冬夜を兄のように慕っているものの素直になれない真由香。
可愛い従姉妹たちが、長い間戦いの場に身を投じている事実を知り、後ろを向いて去る奴は男じゃない。勿論、冬夜はそんな男ではなかった。

もうひとつ、冬夜が戦いから逃げ出さなかった理由。それは『ウィッチクラフトを封印するウィッチクラフト』であるラピスが目覚め、冬夜と契約したこと。
冬夜のことを「下僕」と呼ぶ『最強のウィッチクラフト』とも言えるラピスであるが、小さな胸を張って構えてはいるものの、その内面は普通の女の子。自分を創り出した魔女が亡くなっていると知って、涙するラピスを胸に抱いて、冬夜はラピスとともにいることを誓う。

ラピス。梨央。真由香。
三人のヒロインたちが抱える空虚を受け入れる覚悟を決めた冬夜は、これから血を流しながらウッチクラフト蒐集に走り、願いを叶えるため必死になるだろう。
物語の幕開け。舞台は学園に移る。平穏と非日常が同居することになるこの新たな物語の先が、気になって仕方がない。