飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

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「フールズフィスト」感想

フールズフィスト (フールズフィストシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

フールズフィスト (フールズフィストシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

〈あらすじ〉
〈姫〉〈騎士〉〈従者〉の三クラスを一組とし、七つの名家が『ファウストの遺産』を求めて戦う〈七姫騎闘儀〉。
この血塗られた戦いに、強い奴を見つけると闘わずにはいられない高校生・藤堂誠が巻き込まれてしまう。
愚者の拳が最後に掴むのは、果たして勝利か栄光か、それとも破滅なのか――!?
剣と悪魔のエリミネーションバトルがいま始まる!

単なる大バカなのか、それともとんでもない大物になる素質があるのか?
愚かしいほど己の道を貫き通そうとする男・藤堂誠の熱い想いが迸る物語。

「真の人の尊びは、人の真価が試される場でしか得られない」
その言葉を胸に、喧嘩に明け暮れていた誠は『運命の出逢い』と呼ぶべき出逢いを三度経験することになる。

全ての始まりである、いじめられっ子・山南伊織との出逢い。
陰湿なイジメに心折れ欠けていた伊織の手を引いて助け出した誠。イジメの火の粉が誠にも降り掛かる行為であったが、喧嘩上等の彼にとっては望むところ。しかし多勢に無勢。伊織をイジメていた者たちの逆襲に遭い、劣勢に立たされる。そんな危機的状況の中でも喧嘩を楽しみ、笑みを浮かべる誠は果たしてまともな人間と言えるのか?

異常な誠を「変える」次なる出逢い。
袋叩きに遭う寸前だった誠を、颯爽と現れてまるでヒーローのように救ったのは伊織の兄である山南武蔵だった。
誠は自分を助けてくれた武蔵にも牙を剥くのだが、敗れ去る。この武蔵との喧嘩は直感に従った確認作業に過ぎなかった。

尊ぶべき人をついに見つけた誠は、武蔵を兄のように慕う。その関係は最後の…誠にとって一番大切な人になるであろう少女との出逢いを生み出すことになる。

日本社会を牛耳る『七幸家』のひとつ、幸浦家に仕える山南兄妹の元、見習い執事として働き始めた誠は、絶大な力を持つ魔法『ファウストの遺産』を奪い合う『七姫騎闘儀』に巻き込まれて行く。
人の欲がぶつかり合う戦いに「尊さ」を見出せない誠は、しかしご主人様である幼い『姫様』幸浦雲英の心に絶対に護らなくてはならない「尊さ」があるのを感じる。

山南兄妹と雲英の因果。
本来ならば蚊帳の外にいなくてはならない無関係の人間が、関わっていいことなのか?
そう悩みながらも誠は自分の中にふつふつと煮え立つ熱い想いを無視できなくなり、ついに拳を振り上げるまでの展開の書き方が見事。

運命を共有する四人の関係は歪んでいるように見えて、どこまでも真っ直ぐ。
誠が加わったことで幸浦家の『姫』『騎士』『従者』の三竦みの関係がおかしな状況になってしまったが、武蔵の見つけたシステムの抜け穴も含めて面白い展開になりそうだ。
伊織はもう少し誠への当たりを和らげてくれるともっと可愛いのだけど…このブラコンっぷりでは無理か(笑)