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飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「ロゥド・オブ・デュラハン」感想

ライトノベル このライトノベルがすごい!文庫

ロゥド・オブ・デュラハン (このライトノベルがすごい! 文庫)

ロゥド・オブ・デュラハン (このライトノベルがすごい! 文庫)

〈あらすじ〉
領姫の不可解な死の真相を追う傭兵アルフォンスは、死体を操る死術師と対峙し窮地に陥ったところを、白銀の髪の女に救われる。
彼の者の名はリィゼロット。永き時を生き、死の運命を弄ぶ者たちを狩る、精霊デュラハンの一人。
漆黒の鎧を身に纏い、純白の大剣を振るいながら、彼女は不自然に歪められた命を狩りつづける。
茫洋としたまなざしに、深い悲しみをたたえながら――。
第3回『このライトノベルがすごい!』大賞・大賞受賞、哀切と慟哭のダーク・ファンタジー。

心をぐっと鷲掴みにされる物語。
死の悲劇が主人公たちをを苛み、狂いそうになる心を何とか抑え込んでいる姿が痛々しくも「強い」と感じる。

物語の始まりと同時に悲しみと怒りが吹き荒れる。
傭兵アルフォンスは、二人の美しい領姫の死体を弄ぶ死術師と対峙し…自分もまた死に瀕していた。

何処で野垂れ死んでもおかしくない傭兵家業。そんなアルフォンスが偶然助けることになったリラとアデーレの領姫。
二人に気に入られ、城に招かれては純粋な心を持つ彼女たちと戯れる日々。空虚な傭兵生活を続けていたアルフォンスがようやく掴んだ大切な存在と時間。
しかしそれらは呆気なく砕け散った。

復讐。アルフォンスの心を支配する黒い感情。
優しい領姫姉妹の不自然な突然死の謎。その謎に関わり、目の前で二人の死体に死霊を押し込めて見せ物にしている死術師。
己が死ぬ恐怖すら忘れて、大切な存在と時間を奪った敵を憎悪するアルフォンスを救ったのは、死術師を狩る精霊『デュラハン』のリィゼロット、彼女に付き従う巫女のフリーダだった。
圧倒的な力を振りかざすリィゼには、恐ろしさよりも美しさを感じる。

領姫姉妹を死に追いやったのは何か?
アルフォンスはリィゼたちとともに、その謎を追いかけることになるのだが、行く先々に待ち受けているのは残酷な死の光景ばかり。そこに救いはなく、歪みきっている。

死は永遠の別れ。だからそこから逃れたい。例えそれが間違ったカタチであっても。
リィゼロットはそんなモノたちを狩る存在であるが、自分もまた死に対して深い罪を背負っている。それは生前のリラと何処か似た言動をするフリーダも、己の存在そのものに悩み続けていた。

終始物語を取り巻く死という逃れられない運命。それにどう立ち向かうか…アルフォンスは潰れそうになる心と想いを抱えて、前に進む。不意に現れる救いは、アルフォンスたちだけでなく、読者の心もホッと安堵させてくれるものだと思う。頑ななまでに硬派なこの物語を最後まで見届けて本当に良かった。