飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「アニメアライブ」感想

アニメアライブ (電撃文庫)

アニメアライブ (電撃文庫)

〈あらすじ〉
姉に頼まれ、自主制作アニメの企画・脚本を担当することになる大学生・慶介。
緊張しながら秋葉原にある制作室を訪ねてみると……他の制作メンバーは、作画担当も音楽担当も声優担当も、みんな可愛い女子高生だった!?
心に残るような素敵なアニメーションを自分たちの力でつくりたいっ──!
そんな夢に向かって頑張る個性豊かな少女たちが、きらきらと輝くストーリー。

アニメは好きですが、その製作/制作に関してはさっぱり分かりません。それでもアニメ作りに情熱をぶつける彼等のひたむきさは伝わってくる。
この物語はあらすじ通りのラブコメではなく、夢をその手に掴むために現実と戦う青春ストーリー。

夢と現実の境界上に立っている。
大学のサークルでゲームのシナリオライターをやっていた慶介が直面した現実。一緒にゲームを作っていた友人が真っ当な職に就くため夢から離脱したことで、今まで通りシナリオライターという夢を追い続けるどうか悩み始める慶介。

そんな慶介の行く末を決定付ける出来事…。
「アニメを作りましょう」
姉である理莉子に半ば強引に誘われ、彼女が作ったアニメ制作室に足を踏み入れることになる。
そこにいたのは夢に向かって真っ直ぐ走り続ける三人の女子高生たち。何処までもアニメ作りという夢に真剣で純粋な彼女たちは、夢に迷いのある慶介の書き上げたプロットをボロボロに打ちのめす。

アニメーターを目指すドイツ人のアンネ。声優を目指す観前。サウンドクリエイターを目指す奈菜。
それぞれの夢を目指す彼女たちは可愛い容姿なのに、それ以上に格好良さを感じる。それに対して現実と夢の真ん中で立ち止まっている慶介は、明らかに覚悟が足りていなかった。

彼女たちに刺激されて、慶介は動き始める。シナリオ作りを胸を張って「大好きだ!」と言うために。彼女たちと一緒に夢を現実するため、熱い想いをシナリオに込める。時には想いが交錯してぶつかり合うも、アニメ作りは進んで行く。
再び突きつけられる厳しい現実に毅然と立ち向かう決意を口にした慶介は、そこでようやくアニメ制作メンバーの仲間になれたのだと思う。
クライマックスに用意された見せ場は、慶介を含む全員の全力を見ることが出来て胸が熱くなった。

夢を現実に出来るか?
その答えはまだ出ないが、ひとつの可能性…道筋を示すことはできた。
慶介と彼女たちの青春は、まだ終わっていない。