飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「落ちこぼれの竜殺し1」感想

落ちこぼれの竜殺し1 (富士見ファンタジア文庫)

落ちこぼれの竜殺し1 (富士見ファンタジア文庫)

〈あらすじ〉
突如現れた謎の存在≪竜≫により、一度滅びかけた世界。
≪竜≫と戦うための戦士を育成する機関「健速学園」に入学した叶零士の目的は、会ったことがないにもかかわらず彼の記憶の奥底を揺さぶる、ひとりの少女に会うためだった。
「私を守る騎士は叶零士という男の子だと、決めているのよ」
入学早々、その少女――学園一の才媛・杵築弓美香に宣言され、零士は彼女直属のチームに入ることになった。
だが、零士の能力は学内最下位。
エリートチームの美少女たちに「役立たず」と言われながらも、零士は弓美香のために戦う!
世界を護る砦たる少年たちの物語、ここに開幕!!

『だから僕は、Hができない。』の橘ぱんが描く学園メカバトル。
コメディ要素の強い僕Hとは違い、シリアスな物語であるが、そこは橘ぱんだ。期待以上のエッチな展開が男心に火を点ける!
そう、橘ぱんなら…ぱんさまならアソコまで書いてくれる!!

11年前。世界各地に出現した竜によって世界は蹂躙された。圧倒的な力を持つ竜に滅ぼされようとしていた人類。
しかしこの事態を予期していたモノたちの手によって造り出されたパワードスーツ『竜鱗機〈プラウダー〉』の力を借りて、竜たちを葬り去ることに成功。
戦争は終わり、世界は救われたが完全な平和を取り戻した訳ではない。

竜に対抗するための戦士を育てる教育機関『健速学園』に入学した叶零士は、学園開校以来の天才と呼ばれる杵築弓美香に見出され、5人組のチームを組むことになる。
だが、この零士。能力は実質学園最下位であり、『竜鱗機』を動かすのに難儀するお荷物っぷりを披露。かと思えば滅茶苦茶な挙動で『竜鱗機』を振り回す問題児。
こんな落ちこぼれを、学園始まって以来の才女である弓美香は何故選んだのか?
その疑問への答えは、この物語を読む進めて行く内に解けてゆく。

クールな弓美香を始め、男勝りなレティシア、彼女の妹で弱冠13歳のリタ。美人・美少女な上に成績優秀者揃いのチームに組み込まれた零士は、高揚した気持ちで入られる間など一瞬でしかなく、成績最下位の自分の立場を思い知らされる。特に零士に厳しい視線を向けるレティシアは劣等生の零士をチームから外すように弓美香に進言するほど。
弓美香に選ばれた自分には何か特別な力がある…はずなのに、上手くいかない零士はそれでも挫けることなく否定の言葉を投げかけるレティシアに一矢報いることに成功する。

しかしそれでも零士の力は安定しない。
また劣等生をチームに引き込んだことで、弓美香のチームに入る実力を持っていたエミリーに恨まれた結果、模擬戦を行う羽目になる。力を上手く扱えない零士に、果たして勝ち目はあるのか…。

役立たずから卒業するため、自主訓練を始める零士。そんな彼を支えるレティシアたちチームメイトは、既に仲間意識が出来出していた。とはいえ、その訓練方法はリタのドSな性格もあって過激なものになってしまったが。

模擬戦の最中、秘められた実力を魅せる零士。その力には、弓美香が彼に期待する…想いを寄せるものがあった。

終始零士にデレデレしていた弓美香よりも、男を捨てたと言いながら天然乙女なレティシアの方がヒロイン力が高かった気がしたので、最後にしっかり彼女の出番があって良かった。
ラブもバトルも王道を外さない期待感がこの作品にはある。早く続きが読みたい。