飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

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「五線譜なんて飾りですっ!」感想

五線譜なんて飾りですっ! (電撃文庫)

五線譜なんて飾りですっ! (電撃文庫)

〈あらすじ〉
俺、日野正輝は入学した高校の吹奏楽部で、ある『天才』なトランペット吹きの少女と出会った。
どう天才なのかというと、まず指揮者を見ない、メトロノームを聞かない。
ほかの楽器の音が耳に入らず、合奏できない。
極めつけはクラシック音楽が苦手で、愛器を吹けば出るのはアニソンばかりという有様。
でも彼女の──秋築律夢の音には、人の心を揺さぶる力がある。
そんな律夢に俺が出来ることは──。

久しぶりに一色銀河さんの作品を読みました。『若草野球部狂想曲』からもう12年が経ってるのか…。
あの時は野球。そして今回は吹奏楽。部活に、好きなことに、熱意を燃やす少年少女たちの青春劇でした。

将来有望なトランペット吹きとして知られた南里桜乃音。アイドル級の美少女ということもありメディアを騒がせた彼女は、突然の事故でこの世を去ってしまう。
しかし桜乃音は幽霊となり、幼なじみの日野正輝の持つトランペットに憑依して現世に留まっていた。
そんな二人(?)が、入学したばかりの高校の吹奏楽部に入部した日。思わず息を呑む天才トランペット吹きに出逢う。
彼女の名前は秋築律夢。人の心を惹きつける音色を奏でる律夢…であったが、正輝だけでなく吹奏楽部の誰とも音を合わせることができず、周囲を戸惑わせる。
アニソンが大好きで、それを奏でたいがために独りトランペットを吹く律夢は、本当の意味で音楽を理解することができるのか。

トランペットに取り憑くツンツン幼なじみ・桜乃音と、アニソン好きのお嬢様・律夢の美少女二人に挟まれて送る青春の日々。
とはいっても片方は幽霊、もう片方は天然ちゃん。正輝を恨ましいと思うと同時に、苦労を強いられていてちょっと同情。
特に律夢は曲者だ。本人にその自覚が全くない分、酷い状態。
トランペットを吹き、周囲に才能を感じさせるものの、それは律夢ひとりの時に限られる。いざ吹奏楽部として音色を合わせようとすると、律夢は気持ちの赴くまま突き進んで行ってしまう。
どうやっても。何をやっても周りと音が合わない。けれども律夢のトランペットは、正輝にとっても桜乃音にとっても心惹かれるものであるのは変わらなかった。
大好きなことを純粋な心で奏でる律夢。そんな彼女に、正輝と桜乃音は互いの才能で彼女の演奏に合わせる力業に出る。律夢の音を耳で聞くのではなく心で聞く。そうすれば合わせることができる。そうすれば、律夢のトランペットの素晴らしさを世に伝えることができる。

終わってみれば、律夢に振り回され続けた正輝と桜乃音という図に。パワフルな律夢と付き合うには、正輝と桜乃音、幼なじみ二人の力が必要だった。恐るべし律夢の天然…!