飼い犬にかまれ続けて

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「ラストセイバー 救世の後継」感想

ラストセイバー 救世の後継 (電撃文庫)

ラストセイバー 救世の後継 (電撃文庫)

〈あらすじ〉
ときは西暦2140年。
史上最悪の敵「天使」による容赦ない猛威にさらされ、人類はその数を極端に減らし、まさに絶滅の危機に瀕していた……。
奇怪な事故に遭遇し、2015年の平和な世界から飛ばされてきた名薙綾月は、その過酷な境遇に動揺しながらも、自らの運命と人類の未来に希望を見出すべく、立ち上がる。
その手に輝く剣を携えて──。
かつて見たことのない新次元スピードバトル、開幕ッ!!

「英雄になるための条件なんてない」
何者でもなかった少年が、英雄が与えた一言。
これは「過去」からきた少年が、「未来」を救う新たな英雄になる物語。

東京ビックサイトで発生した謎のテロ事件。それに巻き込まれた高校生・名薙綾月が目を覚ますと、広がっていたのは見慣れぬ廃墟だった。
西暦2140年。現代から100年以上未来の日本。超常的な力を操って猛威を振るう『天使〈アイオーン〉』によって、人類は絶滅しようとしていた。
そんな時代にタイムスリップしてきた名薙は、ひとりの少女と出逢う。名薙が未来に飛ばされる直前に出逢った不思議な少女ソフィア…その彼女そっくりのアニカは、人類の敵『天使』の血を継ぐものの人間の中で生きる強い少女。アニカの想い、そして『天使』と戦う英雄ゼインの生き様を目にした名薙は、遠い未来の地で、己のすべきことを考えさせられる。

面白い物語を読み終わった後の余韻は最高だ。
作り込まれた世界観と設定。ポイントポイントに盛り場・見せ場が配置され、キャラクターたちが今にも絶望の淵に叩き落とされそうな世界で生き生きと動いている。布石が着々と積み上げられて行くのが分かり、それが最後の盛り上がりにしっかり繋がっていて、鳥肌が立った。

過去からやってきて右も左も分からない名薙に、悪態を吐きながらも何だかんだ世話を焼くアニカ。その彼女は人類から差別を受ける身であり、そしていつも強気なアニカはその時ばかりは「仕方ない」と一族が背負う罪を認めてしまい、諦めている。アニカの抱える闇に、憤慨して立ち上がる名薙は決定的な場面で逃げない「男」であることが示されて、読んでいて嬉しくなった。主人公はこうでないと!

そしてもうひとり過去からやってきた少女・如月真無。名薙のクラスメートで転校してきたばかりの彼女は、割り切るのが早い人なだけあって未来の生活に馴染んでいた。未来に飛ばさ、何故か『天使』同様の力を持つに至った真無は、その後同じ条件の名薙が力を発動させる伏線だったり、合理的…重要なことだと認識すると自分が傷つくことも厭わなかったりと、物語・キャラクターたち両方にとってもキーとなる人物。芯の強さではアニカに負けない真無。この二人の仲が悪いのは必然だった。間に挟まれる名薙はこれからも苦労するよ。

その子供たちを見守り続けたゼイン。彼の最大の役目は英雄で居続けること…ではなく、英雄を引き継ぐこと。
英雄としての意識に目覚めた名薙。彼はこれから圧倒的な力を持つ『天使』たちと相対することになる。英雄という重責を受け継いだ名薙は、ゼインのように心も身体も強く持って人々を守り通すことができるのか。
まだ物語の始まりということもあって、謎は多い。この謎全てを明かして、しっかり物語を終えて欲しい。