飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「聖剣使いの禁呪詠唱〈ワールドブレイク〉 」感想

聖剣使いの禁呪詠唱〈ワールドブレイク〉 (GA文庫)

聖剣使いの禁呪詠唱〈ワールドブレイク〉 (GA文庫)

〈あらすじ〉
1人の身体に最強の《前世)が2つ――つまり超最強!!! ってことだろ?
最愛の二人を救う、新・学園ソード&ソーサリィ、始動!!
「兄様に会える予感がしてたの!」
前世で愛を誓った姫剣士にして、実の妹の記憶を持つ少女・サツキと、
「私の唇……覚えてないわよね」
別の前世で隣に寄り添い、冥府の魔女として共に戦った少女・静乃。
輪廻を越え、愛する二人と同時に再会してしまった少年・諸葉は、サツキと静乃に挟まれて大弱り!?
そして、前世の記憶を力に変える転生者達の学園で、史上初めて二つの前世《剣聖×禁呪使い》の力に覚醒めた諸葉は、誰よりも特別な運命を歩み始めた!!
永遠の絆で結ばれた最愛の二人を救う、前世共鳴の学園ソード&ソーサリィ。
我が剣に宿れ魔焔――今、少年は波乱の現世を斬りひらくッ!!

「前世」というくらいなのだから、ひとつしかないのが普通だ。しかしこの主人公は違う。二つの前世を持っている反則仕様。二つの前世で寄り添ったヒロイン二人に迫られて羨ましい限りですね!(嫉妬)

英雄として戦った前世を持つ者。
強固な魂を持ち、それを力に変え地球外からやってきた怪物『異端者』を狩る『救世主』育てる学校に入学した灰村諸葉は、運命の女性と「再会」果たす。
嵐城サツキ…前世で妹でありながら想いを共にした愛しきヒト。だが運命の再会は彼女だけで終わらなかった。漆原静乃…彼女もまた前世で想いを重ねた伴侶だった。
サツキと静乃。性格も前世での立場も真逆だった二人の女性に板ばさみにされ、しかし満更でもない諸葉の学園生活が幕を開ける。

『あるいは現在進行形の黒歴史』でもそうだけど、あわむらさんは「見ていて痛々しい性格だが愛おしく感じるヒロイン」を描くのが上手いなあ、と。普通に描いたら引きますよ。特にサツキは、ツンツンしていたのは序盤だけ、直ぐに諸葉にデレデレになって妄想爆発させているのだから痛々しい。でも可愛いんだよねえ。前世では妹だったけれど、現世では赤の他人同士。想いが暴走するのも分かるが、とりあえず落ち着いて!(笑)
静乃もまた痛々しい女性という意味ではサツキと同じ。油断している諸葉の隙を突くのが上手い。感情を表さない静乃ではあるけれど、諸葉を想う気持ちは隠しきれず、嫉妬している様がぐっと心を引きつける。

白と黒。光と闇。はっきり区別されたヒロインであるが、その想いは一緒。大切なヒトと共にいたい。共に戦いたい。
彼女たちの想いに答えるためにも、戦うことを決意する諸葉。英雄としての魂が安穏を許さないのか…諸葉だけでなく、サツキと静乃の成長もしっかり描いていって頂きたい。