「俺はまだ恋に落ちていない 4」感想
- 作者: 高木幸一,庭
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 2012/11/15
- メディア: 文庫
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〈あらすじ〉
キミは運命の出会い、ってなものを信じるかい?
夏、赤井、恵衣美、詠羅、空河らは田所の提案で、島にキャンプに来ていた。バーベキュー、海辺の散策、海水浴、愛子さんとの修行(?)と、夏を満喫する赤井だったが、深夜、ひとりで泣いている女性と出会う。
「やっぱ恋はイーブンな関係じゃないと、うまくいかないって。どっちかが好きすぎるのはまずいよ……」
新たなトラブルの予感がする中、彼女は赤井が「必要な能力」を持っていると赤井を会社に誘う。
「赤井君、うちに入らない?」
明確な進路の決まっていない赤井は、その誘いにとまどう。もうすぐ舞いおりる、『鷹』の存在も露知らずに……。
出会いと別れ――トライアングル・ラブコメディ第4弾!
読者の心を青春色に染め上げたこの物語もこれにて完結。
赤井、恵衣美、詠羅。この三角関係に対して、歯痒い想いを抱きながら読んでいた作品でしたが、終わるとなると寂しいものです。
でもこの物語は長く続けるべきではない、とは思っていたので幕引きのタイミングとしては良かったかな。
夏休み。青春を謳歌する赤井たちの姿がそこにあった。恵衣美・詠羅姉妹間で板挟みに合い、更に空河も加わって相変わらず羨ましいほど「ラブコメ」している。
しかしそれも赤井の運命を「決める」ある女性との出逢いから、急展開をみせる。
失恋に泣く女性…道星果。彼女をたった一言から立ち直らせた赤井の能力。人を幸せにできる力…と、まで言って良いのかどうか。星果だけではなく、恵衣美、詠羅、空河。彼女たちを笑顔にしてきた温かい何かが、赤井にあるのは確か。
進路も決まらず、恵衣美と詠羅に対する想いも曖昧にしたまま夏を終えた赤井は、会社を立ち上げた星果に見込まれてスカウトされる。胡散臭いことこの上ない会社に感じたが、星果の行動力と赤井の人を温かくする力を合わせれば成り立ちそうだと思わせるのが凄い。
そんな力を持ちながら、煮え切らない赤井の背中を押す形となったのが、恵衣美と詠羅の婚約者の存在。
身分違いの恋。それはやがて悲劇に繋がる…いやいや、浸りすぎだと思いますよ赤井さん。いつも通りバシッと言えば、全て解決なんですよ。
期待通り、赤井は格好悪くも格好良く決めてくれた。赤井が「面白い奴」と言われる訳を再確認。
恵衣美・詠羅から笑顔を奪わずに済んで良かった、と思う一方で、どちらかを選ぶ決断だけはしなかったのか。
「俺はまだ恋に落ちていない」とは、もう言い訳できないぞ。さっさと決めろ、赤井!!