「ラノベの教科書」を読んでラノベ作家デビューできるとイイね!
- 作者: 水島ジュンジ,伊藤ヒロ,すぶり
- 出版社/メーカー: 三才ブックス
- 発売日: 2012/11/30
- メディア: 単行本
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この本は「ライトノベルというものがどういうものか?」を優しく教えてくれる教科書…ではなく、「ラノベを書くために知っておくべきこと」を実践的に教えてくれる教科書。
僕はラノベ作家志望ではないが、ひとりのライトノベルを愛する人間として、創る側の基礎を知っておこうと読んだ訳です。決して表紙のすぶりさんイラストに惹かれて買ったのではない。断じてそんなことはない!(目が泳ぐ)
と、話に纏まりも付けず、この『ラノベの教科書』の内容を章ごとに触れていきたいと思う。
繰り返すが、僕はラノベ作家志望ではない。なので、ただのラノベ読みの視点で書かせて頂きます。
【ラノベ作家になるには?】
まずこの章を読んで、この本の方向性が痛いほど伝わってくる。
まずはお前をラノベ作家としてデビューさせる最短の道を教えてやる。作家として夢を語るのはそれからにしろ。とにかく教えた通りに、書け!書け!書け!!
当然、書かなければ作家にはなれない。しかしただ書いただけでは「作家」にはなれないのです。作家になるにはどうすればいいのか…この本を読むくらいなのだから分かっているとは思うが「新人賞に応募する」のが手っ取り早い道。
応募総数が半端ではない電撃文庫はともかく、他のラノベ系新人賞応募作品の9割は「読むに値しない」作品らしい。つもり応募総数が1000作品あっても、その中で「物語として成立している」のは100作品もないそうな。
物語を仕上げることができる作家志望のライバルは実質応募総数の5%〜10%。
あれ?こう考えると僕でも新人賞が獲れそうな気がしてきたぞ!すげえ!でもどう考えても錯覚だから無理だわ!
そしてラノベ作家としてデビューするもうひとつの道は「ライターなど他の物書き業から転身」こと。
しかしこれにはコネが大きくモノを言うため通常の選択肢ではないね。人脈ってほんと大切だと思います。コネどっかに売ってないかなあ…。
【企画書の作り方】
書きたいことを箇条書きに記していく「企画書」の作り方。
「書きたいことがないなら最近の売れ線ジャンルで練れ!」とまで言うところが、この実践的な『ラノベの教科書』らしい。あくまでもラノベ作家としてデビューさせることが優先。
「企画書」の作り方のポイントは「具体的に書かない」こと。
具体的に書くと「設定に縛られて」柔軟性がなくなり、書き続けるのが難しくなる…これって話したいことを紙に全部書いて覚えてから読もうとすると、上手く話せなくなる現象に似てるよね。
とにかく「話の方向性だけつけておけ!」という段階。やったー!これなら簡単だね!
この段階で作家志望者がやってしまうのが「キャラクターを煮詰めすぎてしまう」こと。キャラクター作りが面白すぎて、物語作りが後回しになってしまい、最悪キャラクター作りだけで自己満足して終わるパターンに嵌る。あ!僕これ知ってる!「僕の考えた最強のガンダム」は考えてるだけで楽しいよね。でもそのガンダムを活躍させるストーリーなんて考えてないや。だって面倒だもん!
創作に落とし穴多すぎ。
【アイデアの出し方】
アイデア出しで読者からすると「人気作品とアイデアが被る」のは禁忌な気がするが、いやいや「プロはカブリを恐れない!」
恐れず騒がず、他人の良いところは積極的に取り入れていこう。
どの人気作品も他の人気作品と何かしら設定・キャラが似通ってるもの。肝心なのはその似通った設定を自分なりにしっかり料理できているか、というところ。
個人的な考えではあるが、「この作品は○○のパクリ!」と批判している人の好きな作品を見てみると、その作品もやはり他の人気作品の影響を受けている。面白ければ創作者が思っているほど読者アイデアの類似を気にしていない。
【プロットの書き方】
ようやく物語の道筋をつける段階…なのだけど、いざ書き出すと敷いたレールの通り進まないのが創作らしい。
そうさくってむずかしい。
強引な話、「終わり良ければ全て良し」とまではいかないにしても、唐突でもクライマックス描ければ物語の体裁は繕えるのだが…。
やはり伏線を疎かにしてはいけない。当然の展開で読者を驚かせる「ノー伏線」を高度な技術として挙げているけど、これはやって欲しくないなあ。読者に親切な作家であって欲しい。
【原稿の書き方】
書き手も人間ならば、読み手もまた人間。機械のような正確さを読者に求めてはいけない。
一文一文舐めるように読む人間は希有なんじゃないかと思う。結構テキトーな感じで読んでるよ!(適当な感じで言い放つ)
読者の集中力が十分ある書き出し20ページで引き込む。その後はラノベヒロインのように主人公(=読者)を振り回してクライマックスまで連れていってしまえばいい!
ラノベ作家として新人賞からデビューするならば、まず下読み(一次・二次審査)の壁を越えなくてはならない。しっかり完成されたラノベを月30冊読むのだってかなりザックリ読んでるのに、それ以上の数を、しかも物語の体を成して無い応募作も含めて目を通さなくてはならないとなると、下読みの精神状態は…ウッ、目から汗が…!
相手は最低の環境で貴方の作品を読んでいる。
そう思って勝負を挑め!
ラノベ作家になるのも重要だけど、それ以上に重要なのはラノベ作家として存在し続けることだよねえ。
頑張って書いてデビューしても、そのまま消えてしまったら何の意味もないから。