飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「ブラックサンタとレインディア」感想

ブラックサンタとレインディア (電撃文庫)

ブラックサンタとレインディア (電撃文庫)

〈あらすじ〉
サンタクロースといえば、赤い服と白い袋、トナカイがトレードマークであるか^^
……まず、このお話ではそんなイメージは完全に捨て去ったほうがいい^^
ということで、ここは多色多彩なサンタが住む世界・サンクラウス。
優勝すれば現実世界への道が開けるという武闘会「ホーリーズ・ナイツ」が行われるこの世界で常勝の赤サンタをぶっ倒すべく、黒サンタ代表のノエル・シャープが立ち上がる!
武闘会に備えて、サンタのパートナーであるレインディアを召喚するノエルだったが……現れたのは全身タイツの可愛い女の子!?
しかも、何故か立場が入れ替わってダサいタイツがノエルのもと へ……えっ、なんでそうなるの!?
聖なる夜に、夢もアソコもアツくするおバカでシュールなバトルコメディ!

クリスマスの予定?そんなのラノベ読んで感想書いてるに決まってるじゃないですかー!やだなーもー!(吐血)
この作品の題材は『クリスマス』…と、いうよりも『サンタクロース』だ。話の流れがスッキリしているコメディで抵抗なく読み進められる。あっさりとした読み応えではあるものの、話はしっかり纏まっていてお手軽に何か読みたい人にオススメしたい。

舞台はサンタクロースの住む世界サンタクラウス。そこには定番の赤色を始め様々な色のサンタが街ごとに別れて暮らしている。
黒サンタのノエルは落ちぶれた黒サンタの村に活力を与えるため、三年に一度行われる『ホーリーズ・ナイツ』に参加しようとしていた。サンタの実力を競う武闘会。その大会に必要不可欠なサンタの相棒であるトナカイ…『レインディア』の召喚を試みたノエルであったが、彼の前に現れたのはどう見ても強そうに見えない「トナカイの全身タイツを着た」銀髪美少女カロンだった。

黒サンタのノエルと、トナカイのカロンのコンビがサンタクロースの頂点を目指す!…ストーリーになるはずだったのだが、ちょっと違う。何の手違いか、あるいは呪いなのか。カロンの着ていたトナカイタイツが、ノエルに移ってしまい、しかも脱ぐことができない状態に。これは…これは恥ずかしい…!
立場が入れ替わり、残念すぎる姿になったノエルだが、それでもカロンと共に『ホーリーズ・ナイツ』に出る決意を固めるのだから、そのメンタルの強さは称賛したい。案の定会場で笑いものにされる哀れなノエル…ま、まあトナカイはみんなの笑いものにされてナンボだからね!

しかしこのトナカイタイツ。見た目に騙されてはいけない。どうにも頭の軽いカロンがサンタの袋から生み出す「いらないもの」がトナカイタイツと合体!もう意味の分からない絶大な力となって対戦相手のサンタを蹴散らしていく。ここまでの間、笑いものにされてきたノエルの姿を見ていただけに胸がスッとするものがあるが、これはチートすぎる性能だぞ!

圧倒的な力で優勝まで上り詰めるのか。だが、そこに立ちはだかるのが、赤サンタの魔の手。おいおい子供たちに夢を与えるサンタがそんなんでいいのかよ、と思ったのが伝わったのか。この逆境をノエルとカロンのコンビが熱い心を轟かせて乗り越えてくれる。何処までも気分良く読める物語だった。

季節モノだから続きを出すのは難しそうだし、綺麗に落ちているのを考えるとこれでおしまいなのかな。何にしても、この作家さんの次回作には期待したい。