飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「クロックワーク・プラネット1 」感想

クロックワーク・プラネット1 (講談社ラノベ文庫)

〈あらすじ〉
唐突だが。世界はとっくに滅亡している。
死んだ地球のすべてが、時計仕掛けで再現・再構築された世界“時計仕掛けの惑星(クロックワーク・プラネット)”。
落ちこぼれの高校生・見浦ナオトの家に、ある日突然黒い箱が墜落する。中にいたのは 自動人形(オートマタ)の少女。
「あんな故障一つで二百年も機能停止を強いられるとは。人類の知能は未だノミの水準さえ超えられずにいるのでしょうか?」
破綻と延命の繰り返し。
作り変えられた世界と、変われない人類。
理想と現実が悲鳴をあげる時、二つの出逢いが運命の歯車を回す!
榎宮祐×暇奈椿×茨乃が共に紡ぐオーバーホール・ファンタジー!

MF文庫Jの『ノーゲーム・ノーライフ』とは違い、合作であるため榎宮成分100%とはいかないが、それでも十分すぎるほど読者を楽しませる仕掛けが次々飛び出してきて面白い!
「またしてもやられたなあ…」というのが素直な感想です。手のひらの上でコロコロ転がされているような感じがして、何か悔しい気持ちもある(笑)

とっくの昔に世界は滅びていた。
……はずなのに、滅んだ世界を支えているのは謎だらけの『歯車』たち。歯車だけで動いているこの世界『時計仕掛けの惑星』を舞台に、機械弄りが大好きな少年と、歯車で構成された美しい自動人形の少女との、2000万の人間の命を賭けた戦いが幕を開ける。

まず設定を読んでいて感じたのは「なんて無茶苦茶なんだ…!」ということ。主人公の音に関わる天才的才能にしても、世界を構築する歯車にしても、あまりにもファンタジーすぎてツッコミどころだらけ。しかしそれを悪い意味で「気にかける」ことを読者にさせることなく、怒涛の物語展開に巻き込み、主人公のナオトとヒロインのリューズのコンビで魅了。この物語、キャラクターは楽しい気分になるための装置に過ぎないから細かいことは気にせず楽しめや!、と思わせるのが上手いんだよ。

ナオトにしても、ご主人様と周囲に恐ろしくなるほど辛く当たるリューズにしても、到底「普通」の枠に収まる存在ではなく、また物語に深く関わることになるもうひとりの主人公たちとも言っていいマリー&ハルターも個性的と呼んでも失礼に当たりそうなほどぶっ飛んでいる。そんな彼等を翻弄し尽くす物語運びも、まあ普通であるはずがないよね。とにかく、この一冊を使って全力で僕達を楽しませようとしているのが伝わってくるのが嬉しい。

続きにしてもリューズと同等の機能を持つ姉妹の存在を明かしたりと、心踊る設定があるので今後が楽しみ。リューズの姉妹は何番までいるのかな。可愛い自動人形ちゃんカモン!