飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「俺が生きる意味 2」感想

俺が生きる意味 2 放課後のリゾルト (ガガガ文庫)

〈あらすじ〉
悲惨な世界に活路は存在しないのか!?
そして、少年少女たちは、戦うことを決意する――。
突如現れた“見えない壁”により、“人喰いの化け物”が徘徊する学校に取り残されてしまった斗和たち。
生徒たちが次々と捕食され、無惨な死を遂げていくなか、ついには斗和自身も化け物に捕獲されてしまう。
だが、そのとき新たな変化が巻き起こる――!?
高校を舞台とした「放課後」編の後編、ここにあり。
不条理な環境の中、人類は最後まで生き残ることができるのか?
戦慄のパニックホラー作品第二巻!!
衝撃の結末が脳髄を貫く!!

心臓が大きく高鳴る。本を握る手は汗でびっしょり濡れて、集中して読んでいた証拠に、力を入れすぎて本が反り返って歪んでしまった。

面白かった…最後まで読み終わり、吐き出す息と一緒に、純粋な想いが零れる。そして願う。この先も読み続けたいと。だから訴える。

「買って下さい。いや、買え」

濃厚な死の匂いに見たされた学園。少年少女たちは幾多の鮮やかな死を目撃し、心も身体も疲弊していた。そんな時に舞い降りた『希望』…寧々音が開花させた異能の力が、人喰いを切り裂く。ようやく手に入れた『反撃』の力を前にして、酔った人間の行動は何処までも愚かしい。

違う。
斗和たちはこの事態が発生した時から愚かだったのだ。
仕方がない。自分が生き残るために、目の前の命を見捨てるのは仕方がない。仕方がない。仕方がない。仕方がない。
そうやって状況を言い訳をし続けて逃げていても、人の中にある不信・不安・不満は解消されることなく降り積もって行く。時間は巻き戻すことは出来ない。人の死をなかったことには出来ない。一度ぶつけた言葉を取り消すことは出来ない。

何処かの瞬間で。
はたと冷静になって省みれば、違和感は常に提示されていた。人喰いのいる異常空間に対する違和感ではない。もっと日常に密接に関係する違和感の正体に、神の視点でいるはずの読者でさえも、目の前の衝撃的な展開味呑まれて見失っていた。あるいはそう誘導されたと言ってもいい。

愚かとはいったが、斗和は勇敢に戦ったみんなのことを思いやって行動した。限界を超えた動きだった。ただそれ以上に…状況が酷すぎたということ。例え違和感の正体に気付いたところで、結果は変わらなかったように思える。

救いのない最後。そのまま終わるのだろうか?いや、答えは示されていない。まだ続きがあるはずだ。
その通りだった。ハッとなり、強引に意識を引っ張り戻された感覚。何が何だか分からない、でも、この先に答えが用意されている。生き残った者たちが、今度はどんな事態に引き込まれるのか。ただただ僕はそれが楽しみで仕方がない。