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飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「よろず屋退魔士の返済計画 1 100億の契約書」感想

ライトノベル オーバーラップ文庫

よろず屋退魔士の返済計画 1 100億の契約書 (オーバーラップ文庫)

〈あらすじ〉
「おめでとう、わたしの一生をかけて、オマエを使い尽くしてあげよう」
退魔の名門「神堂家」から破門され、かつて住んだ家に戻った追儺狗朗を待っていたのは幼馴染の九十九みぎりと100億円という莫大な借金だった。破門された身のため、退魔士として依頼を受けることができない狗朗だったが、みぎりの発案により「死者専門の何でも屋」を開業することに。しかし舞い込む依頼は死者のしょうもない心残りなど、どれもひとクセあるものばかり。更には神堂家からも後輩にあたる退魔士、葛が追いかけてきて!?退魔士の少年と暴君少女が始める借金返済コメディ、ここに開幕!

オーバーラップ文庫創刊!
と、いう訳でオーバーラップ文庫、最初の一冊に選んだのはこの作品。
え?なんでこの作品を他の新作よりも先に読んだのかって?…野暮なことは聞くんじゃないよ!

作者のSOWさんが以前書いていたメガミ文庫『みすぷり』が大変ツボにハマっただけに、シリーズ展開が残念な結果に終わって悲しい想いをしました。今回オーバーラップ文庫で再びオリジナル作品を書くということで、ひとりの読者として、これほど嬉しいことはないです。

退魔士の家系に生まれた主人公・狗朗。両親の駆け落ちの末生まれた狗朗は、母を早くに亡くし破天荒な父親に振り回された挙句、母の実家である退魔士の名門『神堂家』に捨てられるという、不幸すぎる生い立ちを持つ。風当たりの強い中、退魔士として修行してきた狗朗であったが、その果てに待っていたのは、破門。『神堂家』を追い出され、行く宛のない狗朗は、昔父と暮らしていた借家を訪れる。そこで偶然再会した幼馴染の九十九みぎりは、狗朗の運命を変える…どころか狗朗の人生を握り締めている人物だった。

冒頭から語られる狗朗の不幸な人生。しかしそこに生きるということに対する暗さは全く感じられないのは、狗朗の性格ゆえ。再会したみぎりは、アホな父親がアホな理由によって作った借金を、狗朗が肩代わりする内容の契約書を持っていて、更には借金をしている間はみぎりの命令には絶対逆らえない呪いのような効果まである。
絶望して首を吊ってもおかしくない人生だが、よくよく考えてみれば可愛い幼馴染の命令ならどんなことでも受け入れたいものじゃありませんか!…ん?違うの?あ、はい、狗朗はそう考えてはいないね。

父親が作った借金の額は100億円。子供が冗談で言いそうな額の借金を普通返せる訳がない。が、しかし頭のキレる幼馴染は違う。破門されて自由に退魔士業を出来ない状況を視点を変えて打破。生きている人から依頼を受けてはいけないなら、死人から仕事を取ればいい、と「死霊の悩みを聞く」便利屋を始める。それも金持ちに取り行って高額報酬を引き出すのだからみぎりの話術には恐れいる。

何処かツンツンしていて男勝りなみぎりに押され放題の狗朗。頭脳担当のみぎり、労働担当の狗朗とバランスが取れていて実に面白い。強気なみぎりが時折見せる、狗朗に対する「ほの字」が可愛いのなんの。このコンビ…と、いうかみぎりの乙女心を揺さぶる要員として、狗朗と共に修行を積んだ『ボクっ娘』葛の登場もあって、ラブコメ面に隙がない。

「死人の悩みを聞く」便利屋と聞くと、何か恐ろしいもののように感じるが、蓋を開けてみればおバカな依頼ばかりで、コメディ要素が強く、非常に読みやすい。しかしこのコメディが最後まで続いてしまうと話に締まりがなくなるので、終盤には眉をキリッとさせる、シリアスな展開も用意されていて、しっかり話を落としている。

タイトルにナンバリングしてある通り、シリーズ展開を見越している作品で、次の話に期待を持たせる終わり方をしているのがGOOD!!
ほんとヒロインズに隙がないね(笑)みぎりさん、僕は貴女を応援し続けます。